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2015年4月21日 (火)

南米チリ映画“No”

 チリの映画を見るのは多分初めて。好きな俳優の一人である“ガエル・ガルシア・ベルナル”が主演している。

 政治の世界を描いている南米映画で思い出すのは“戒厳令”だ。そこに描かれている重い現実が、どうしようもなくやるせない気分にさせた。

 この“No”という映画はそうした過去の軍政から民政に移行しようとするちょうど転換点の時代を描いている。「軍政の信任投票に“No”を入れよう!」というTV広告を企画した広告マンが主人公だ。売れっ子ではあるが普段は軽薄なTVコマーシャルを作っている。

 その普通の主人公が、持ち前のセンスで「暗い過去と決別し、明るい未来を選択しよう」と映像で呼びかけるCMを作ることになる。

 普通の人間が自分の仕事をやり遂げ、そのことが歴史を転換させることになったのだけど、表舞台には出ないそうした裏方の話を発掘した着眼点が良いね。投票に勝利して皆が熱狂しているのを後に、ひっそりと主人公がその場を去っていくシーンが印象的だ。

No

 なかなかに良い映画だった。意図的に画質を悪くしてあるので、大画面で鑑賞すると粗が目立つ。

 調べてみると現在のチリ大統領は女性の“ミシェル・バチェレ”と言う人で、父親は軍事政権に殺害されているのだけど、国防大臣を務めた経歴も持っている。

 南米の政治家というのはタフなのはもちろんだけど、懐の深さとしなやさも持っていないと務まらないのだろうな。その点、日本の政治家の底の浅さと狭量さにはあきれるばかりだ。

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