スペイン・ピレネー・トレッキング Feed

2015年8月 8日 (土)

ピレネー・トレッキング第4日目(7月22日)、下山してトルラ村へと戻る

 前の晩は深夜に暴風雨となり、小屋周辺でテント泊していたトレッカー達が小屋に逃げ込んでえらい騒ぎとなった。

 食堂を占有していたそのトレッカー達が起きた後に、ようやく朝食となった。予定より遅れて7時過ぎにサラデッツ小屋を出発。天気はすっかり良くなり無風で晴れ。気温7℃

 出発直後に小屋を振り返る。Dscn8936

 相変わらず道標もなにもなく、地図で確認しながら進む。

 岩場にもペンキなどの目印はない。

 下ってきたガレ場を振り返るDscn8938

向かいの尾根にフランス側から車で上がってこられる駐車場が見えてくる。Dscn8939

途中で大きな沢を横切る。雨で増水していると渡るのは無理だ。Dscn8940

ガヴァルニ渓谷方面の眺めDscn8945

 久しぶりに道標が現れた。ガヴァルニ渓谷へ降りていく道とスペイン国境となる峠への分岐点だDscn8946

峠に向かう道脇の景色Dscn8955

峠が見えてきた、右に向かう道はフランス側の駐車場へ続いている。Dscn8956

峠(Puerto de Bujaruelo)から望むスペイン側Dscn8959

 峠から下り始めると、巡礼路であることを示すホタテ貝の印が現れた。どうやらこの峠道はフランスからスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼路のひとつだったらしい。

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お花畑が現れる。Dscn8965

下ってきた峠を振り返るDscn8967

のどかな谷底の道、周囲にはマーモットの姿も。Dscn8970

途中にある避難小屋、中は荒れていた。Dscn8984

目的地の谷(Valle de Bujaruelo)が見えてきた。Dscn8985

 お昼頃San Nicolas de Bujarueloに到着、立派な橋がAra川にかかっている。資料によると橋はローマ時代のもの(Puente románico)らしい。峠から降りてきた道は古代よりフランスとスペインを結ぶ重要な道だったのだろう。Dscn9004

 この地には山小屋が営業していて、バルを併設している。周囲には大きなオートキャンプ場もある。

 バルに直行しトルティーヤとビールで昼食となる。Dscn9007

 バルでトルラ村までの交通手段を尋ねると、バスはなくタクシーサービスがあるとのこと。タクシーは30ユーロと高いのだが、呼んでもらうことにした。

 昼食を済ませて、しばらく待つとタクシーがトルラ村から上がってきた。しばしの乗車で無事エーデルワイス・ホテルに到着し今回のトレッキングは終わった。

 タクシーでもトルラ村までは結構な距離感がある。歩けば3時間ぐらいはかかりそうだが、巡礼路でもあった旧道が残されているので体力に自信ががある人は歩き通すのも悪くない。

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後記

1、シーズン中の山小屋は込んでいるので予約必須

2、トルラ村の宿も予約した方がベターだろう

3、ルート上には道標や目印のペンキマークがなく、ある程度地図になれている必要がある。視界が悪い場合に行動するのは避けた方がよい。

4、トルラ村へ入るミニバスは平日は1日1便、週末2便しかないが、途中の町からタクシーを利用する手もある。SabiñánigoからTolraまでだと6,000円ぐらいらしい

2015年8月 4日 (火)

ピレネー・トレッキング第3日目(7月21日)、“ローランの裂け目”を越えてフランス側へ

 朝食を摂り7時頃ゴリッツ小屋を出発。ほとんどのトレッカーはまだまだ悠然と朝の支度を整えていて慌てる様子がない。日本とは大違いだ。

 気温13℃、前の晩は暑くて寝汗をかいた。

 出発直後に小屋を振り返る。標識はまったくないので地図が手放せない。

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前日に登ってきたオルデサ渓谷の上部が見えてくる。Dscn8821

しばらくすると岩場、目印となるペンキも塗られてなくルートは判りにくい。Dscn8827

窪地のせせらぎを横切り進むDscn8834

小さい峠に到達Dscn8842

その峠から右(北側)に斜面をトラバース気味に登っていくDscn8844

マーモットに遭遇Dscn8854

途中で峠を振り返るDscn8860

尾根の肩を廻り込むといよいよ“ローランの裂け目”(Brèche de Roland)が見え始めるDscn8862

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廻り込んだ尾根の西側の斜面を北に向かって登っていく。Dscn8873

登ってきた斜面を振り返る。Dscn8867

岩場に入ると踏み跡もなくなり、ルートははっきりしない。

先行する若いカップルの後に付いて行こうとしたものの、遅れて見失ってしまう。Dscn8874

尾根下のガレ場に踏み跡があるのを見つけて、そこまで一旦下降し、ガレ場を登る。Dscn8877

ガレ場を登りきり、断崖直下へ到達Dscn8880

横を見ると鎖に沿って横伝いに来るグループを発見。そちらの方がメインルートのようだ。Dscn8882

裂け目までもうすぐ、あちこちに落石の跡があり危険地帯。Dscn8886

登ってきたルートを振り返る。地図に載ってない踏み跡があちこちに見える。Dscn8888

カールの対面(西側)の斜面にもルートがあり、そちらは傾斜も緩やかで安全なルートのようだ。Dscn8890

“ローランの裂け目”(標高2,805m)に到達し大休息、フランスとスペインとの国境だ。Dscn8901

フランス側ガヴァルニ渓谷(Gavarnie)方面の展望Dscn8907

フランス側に下り、小さな氷河(glacier de la brèche)を横切るDscn8909

この氷河、急速に消えかかっているようだ。

振り返って見た氷河とローランの裂け目(Brèche de Roland)Dscn8911

 午後1時、サラデッツ小屋(Refuge de Sarradets、標高2,587m)に到着。チェックインはしてみたものの、部屋に入れるのは午後5時からであった。Dscn8916

小屋から眺める“ローランの裂け目”(Brèche de Roland)Dscn8919

 フランス側は軽装備のハイカーが多くて賑やかだ。フランス側からは標高2,208m地点まで車で上がってこられるので裂け目までの日帰りハイキングが可能だ。

到着を祝しワイン500ml、4ユーロDscn8921

5時になり、もらった最下段のベッド。狭いので起き上がると頭を天井にぶつける。Dscn8928

夕方から雨になった。小屋からは上部しか見えないがガヴァルニ渓谷(Gavarnie)の大滝が美しい。Dscn8930

 夕食のメインであるトマトソースのペンネ、充分美味しい。食事中に小屋のスタッフが日本の歌を歌ってくれた。Dscn8932

 この小屋、収容人員が少なく、ベッドは窮屈だし、トイレが二つしかないなど設備面ではあまり良くない。しかし、若いスタッフ達は皆感じが良く、気持ちよく過ごせた。

 翌朝の勘定は50ユーロちょうどだった。内訳は部屋代が20ユーロ、夕食と朝食で23ユーロ、缶ビール3ユーロ、ワイン・ハーフリットル4ユーロ

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関連リンク

サラデッツ小屋(Refuge de Sarradets)

2015年8月 2日 (日)

ピレネー・トレッキング第2日目(7月20日)、オルデサ渓谷を詰めてゴリッツ(Goriz)小屋へ

 トルラ村から8時のシャトルバスに乗車し、渓谷駐車場へ向かう。20分程で駐車場(標高1,335m)に到着、駐車場脇にはカフェ・レストランもある。Dscn8707

駐車場からの展望Dscn8710

歩き始めると、すぐに樹林帯に入り展望は利かなくなる。Dscn8715

ハイキングコースなので標識はしっかりしている。9:00の気温13℃Dscn8724

最初の滝Dscn8733

避難小屋Dscn8737

岩を穿って造られた道 Dscn8739

樹林帯を抜けると視界が一挙に開けて、すばらしい眺めとなる。 Dscn8741

第2の滝 Dscn8746

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谷の核心部に入っていく、道はよく整備されていて、運動靴程度で充分。 Dscn8753

最奥部にある第3の滝 Dscn8763

谷奥部からゴリッツ小屋(Refugio de Goriz)への登りに入るとハイキング客はいなくなり、ひっそりとしてくる。

登り途中から渓谷を振り返る Dscn8771

鎖場が現れる。 Dscn8773

鎖場通過後の、渓谷の眺め Dscn8790

 周囲を観察すると谷奥東側に別のルート↓があり、ほとんどのトレッカーはそちらから登って来る。鎖場がないのでそちらから登る方が安全だ。Rout

 午後3時過ぎゴリッツ小屋(標高2,200m)に到着、ルート上の標識には4時間半と示されていたのだが、7時間近くかかってしまった。 Dscn8803

 小屋は大勢のトレッカーでごった返していた。まずは寝る場所を確保。 Dscn8804

 食事までの時間は外のテラスでビール。缶ビール3ユーロとそれほど高くはない。私とは逆にフランス側から入り、オルデサ渓谷へと下っていく九州からの女性グループと一緒になり、楽しくビールを頂いた。

 7時からはいよいよディナータイム、まずまず美味しい。ワイン500mlで4ユーロ。開始時間とテーブルは小屋から指定される。 Dscn8805

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 小屋の夕暮れ時、テント泊のトレッカーも混じり、ますます賑やかとなる。小屋の奥では拡張工事が進行中だった。 Dscn8811

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 翌朝の勘定は部屋代16.7ユーロ、夕食17ユーロ、朝食6ユーロ、+税金で計39.7ユーロだった。

※渓谷の上部からは標識が整備されていないので、地図でルートを確認しながら進むことになる。

※トイレの便座がないので女性は要注意。しゃがみ込むトルコ式がひとつだけあるのを確認した。

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関連リンク

ゴリッツ小屋(Refugio de Goriz) オンライン予約可能

2015年8月 1日 (土)

ピレネー・トレッキング第1日目(7月19日)、麓のトルラ村へ移動

 前日の18日、マドリッドからアラゴン州の州都であるZaragozaへバスで移動し、到着したZaragozaのバスターミナルでトレッキングの行き帰りに必要なバスチケットをまとめて購入した。その後Zaragozaをざっとだけ観光して、駅前のビジネスホテルで1泊。

 7月19日、Zaragoza発8:30のバスで今回のトレッキングの基点となるTorla村を目指す。ローカル線なので途中のバス停でも客が乗り込んでくる。

 遠くに山々が見えてくるようになると、周囲の風景もそれまでとは一変して木々の緑が多くなってくる。

 途中、Sabiñánigoという小さな町で降りてミニバスに乗り換え、更に山奥へと入っていく。

 深い谷を見下ろしながらバスは進んでいく。

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 やがて谷が広くなり、お昼頃Torla村(標高1,033m)に到着。

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 村はオルデサ(Ordesa)渓谷の入り口に位置し、小さいながらも山岳リゾートとしてホテルやレストランなどの施設が充実している。物価は思ったより安く、バルで飲む生ビール(300ml)が1.5ユーロ。

 メインストリートはなかなかに賑やかだ。広場には市が立っていた。

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ぶらぶらと村を散策する。15:00の気温28℃

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 トレッキング中に必要な行動食を村のスーパーで購入、登山用具店も数軒あるので足りない装備や地図も手に入る。

 宿に戻ると日本人のグループ客がチェックインしていた。後で伺ったところ大学の山岳同好会のOB仲間とのこと。その後そのOBグループとは翌日、翌々日と同じルートを歩くことになる。

 位置関係図

 白楕円で示した今回トレッキングしたエリアの南端にトルラ村がある。

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 ピレネー山脈に沿って描かれている赤のラインは地中海沿岸から大西洋沿岸まで延びているGR11と呼ばれるトレッキングルート。今回のトレッキングではその一部を歩いたことになる。

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関連リンク

バス会社時刻表検索

GR11をバルセロナからトルラ村まで19日間かけてトレッキングした記録

2015年5月25日 (月)

オルデッサ渓谷の地図を入手

 7月にトレッキングすることにしているスペインの「オルデッサ・モンテペルディード国立公園」の地図を入手した。

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  ちょうどドイツから帰省することになった娘夫婦におみやげとして買ってきてもらった。お値段は税込み15.9ユーロ。日本のアマゾンでも扱っている。版元はイギリスの会社で、そこから取り寄せすることも可能だが送料が高くつく。

 広げてみると東部編と西部編の2枚の地図がセットになっていて、スケールは25,000分の1、材質は防水性のある樹脂系の紙で日本の「山と高原地図(昭文社)」に良く似ている。ただし、日本のように標準コースタイムは記載されていない。

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 しっかりした地図が手に入り、これでひと安心だ。

2015年4月18日 (土)

オルデサ(Ordesa)渓谷のパノラマビュー

渓谷最奥部の360°パノラマビューを見つけた。

解像度が高いので、クリックして全画面表示にするとかなりの迫力だ。


Goriz Valley

カメラが据え付けられている所の地表を見ると、氷河で岩盤が削り取られたのが良く解る。

2015年4月 9日 (木)

ピレネー・トレッキングの計画完了

 あれこれとリサーチしてようやく山中で2泊3日、麓の村での前後泊を合わせて延べ4泊5日のトレッキング計画ができあがった。

Ordmaps2

1日目、サラマンカ市からバスに乗り、途中で乗り換えてオルデサ(Ordesa)渓谷入り口のTorla村(A)へ移動、同地のホテルで1泊

2日目、Torla村(A)から駐車場(B)までシャトルバスで移動し、オルデサ渓谷を奥へと詰めて、谷上部へと登りGoriz小屋(C)で宿泊

3日目、Goriz小屋(C)から"Rolandの狭間(裂け目)”を越してフランス領に入りSarradets小屋(D)で宿泊

4日目、Sarradets小屋から谷底(E)へと下る。途中でスペイン領に戻ることとなる。川沿いにTorla村(A)へ歩き、ホテルで1泊

5日目、ピレネーを離れ、バスでAinsaという町へ移動

 徒歩開始地点である駐車場の標高が1,335m、最高到達点の"Rolandの狭間(裂け目)"が2,805mとなっている。白山登山の一般コースである別当出会(1,260m)から御前峰(2,702m)へ往復する場合と比べると標高、高低差ともほぼ同じだ。ただし、ピレネーの場合は水平移動距離が合計41Kmもあり、御前峰往復の場合の3倍ぐらいとなる。

 麓のホテル2泊、山小屋2泊の予約は完了。スペイン側の小屋はオンラインで簡単に予約できたのだが、フランス側の小屋はウェブサイトに英語表示がなく、電話での予約受付らしいので、自力での手配はあきらめてドイツ在住の娘夫婦に助けてもらった。

最高到達点の峠である“ローランの狭間”(2,805m)、手前の小屋はフランス側のSarradets小屋Roran_2

2015年4月 2日 (木)

スペイン・ピレネー・トレッキングを手配中

 7月に連れ合いとマドリッドからアンダルシアを旅し、その後連れ合いを日本に見送ってからピレネー山脈にあるオルデサ(Ordesa)渓谷をトレッキングすることにした。

オルデサ渓谷Odsvl

 オルデサ(Ordesa)渓谷は世界自然遺産に指定されているのだけど、日本語での詳しい情報はなく、英語でもあまり見つからない。

 スペイン語なのだけど、コースタイムやルート地図が載っているこのブログを見つけ、それを参考にして2泊3日で山域を周遊することにした。

 さて、現地入りする交通手段なのだが、一人なので公共バスが現実的だ。調べてみるとサラマンカという町から途中で一度乗り継いでふもとのTorla村まで行くバスがあることは分かったのだが、バス会社のウェブサイトで料金を調べようとするとエラーになる。始発地点であるサラマンカ市のバスターミナルの情報も載ってないので、どこにターミナルがあるのかさえ分からない。

 一昨年に訪れたチロルアルプスのインスブルックではすべてのバス停の詳細地図さえ出てきたのに、えらい違いだ。ゲルマンとラテンの違いか、それともバス会社の違いか。インスブルックは観光業で成り立っているので公共バスのウェブサイトにも力が入っているのかも知れない。

インスブルックのバスルート検索結果Insbus

 どうもバスのウェブサイトに限らず、スペイン国鉄であるRenfeのウェブサイトですらもエラーが多くてスペインを旅行しようとする日本人はえらく難儀をしているようだ。私も試してみたがエラー発生で先に進めない。 

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