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2023年8月

2023年8月29日 (火)

ドキュメンタリー映画 "大海原のソングライン"

 民俗音楽というものにはっきりとした定義はないだろうと思うが、昔から興味があった。東京芸大の小泉文夫教授がDJを務め、NHK-FMで放送されていた”世界の民族音楽”をよく聞いていたし、地元のホールで時たま開催されるコンサートもちょくちょく聞きにいった。ガーナのコギリ奏者である”カクラバ・ロビ”やバリ島のジェゴク(竹のガムラン)グループである”スアール・アグン”が強烈な印象を残している。

 そうした民俗音楽を扱ったドキュメンタリー映画が"大海原のソングライン"。北は台湾、南はニュージーランド島、東はチリ領のイースター島、西はインド洋西部のマダガスカル島までという、グーグルアースを使わないと実感できないような広大な地域をつないでいる音楽文化を描いている。

 なぜそんな広大な地域に共通した音楽文化が存在するのかというと、最近の遺伝子解析によってわかってきたことなのだが、台湾先住民がアウトリガーカヌーを使って未知の大海原に乗り出し、南太平洋の島伝いに拡散していったからだ。

 このドキュメント、ただ各地を取材しているだけではない。そうした地域のミュージシャンを多重録音と多重撮影で一つにつなぎ、壮大なスケールのアンサンブルを新たに生み出している。

 共通のルーツと文化を持つ者達が時間と空間を超えて新たにつながり、それによって生み出された音楽は実に素晴らしい。とにかく聞いてみない事には・・。 

 映画の公式サイトはこちら

2023年8月13日 (日)

ロビー・ロバートソン逝く

 The Bandのリーダーだったロビー・ロバートソンが去る8月9日に亡くなったとのニュースが流れた。LPレコードを1枚と解散コンサートのDVDを買っただけだが、いくつかの楽曲が心に残っている。

 長い年月が流れ、クラプトン主催のクロスロード・ギターフェスティバルに出演しているの見かけたのだが、若い時とは容貌がすっかり違ってきていて「この人誰?」の状態だった。

 Wikipediaによれば父親がユダヤ系、母親はモホーク・インディアンで、母子家庭でもあって子供の頃は極貧生活を送ったとのことだ。

 代表曲である"The Weight"を聞いて、彼の音楽人生に思いを馳せよう。

 息子であるSebastian Robertsonがこのビデオをプロデュースしている。

 歌詞の意味は和訳を見ても良く分からない。こちら

2023年8月 3日 (木)

コーエン兄弟監督 ”Burn After Reading”

 コーエン兄弟の映画はどれも好きなのだが、”Burn After Reading”は一度見たきりで忘れかけていた。配信100円のセールがあったので再視聴した。

 スポーツジムに勤務するトレーナーであるチャド(ブラッド・ピット)はCIAの内部情報が書き込まれたCDを拾い、軽い気持ちで金に代えようとする。ところが、話は思惑とは外れどんどん悪い方へと転がっていく。

 登場人物は誰もが間が抜けている。演技派のジョン・マルコビッチが間抜けな役柄を真面目な顔で演じていて、それだけで相当に可笑しい。

 間が抜けた面々が右往左往していくのだが、ドタバタコメディとは違って、細部の仕草にこだわらずに突き放したようにクールに描写される。最後にそれを始末するCIA幹部のセリフが秀逸だ。ジョージ・クルーニー演ずる政府役人が自分のやったことにオロオロとしている状況を想像して、くすっと笑える。

 こういう犯罪コメディは好みだ。ブラッドピットとジョージクルーニーの組み合わせもあって、興行収入ではコーエン兄弟作品中トップとのことだ。

 エンドロールで流れるテーマ曲のようなゆるいロックが最高すぎる。まるでこの映画のために作られたような。

 この曲の日本語訳がこちら

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