ドキュメンタリー映画 "大海原のソングライン"
民俗音楽というものにはっきりとした定義はないだろうと思うが、昔から興味があった。東京芸大の小泉文夫教授がDJを務め、NHK-FMで放送されていた”世界の民族音楽”をよく聞いていたし、地元のホールで時たま開催されるコンサートもちょくちょく聞きにいった。ガーナのコギリ奏者である”カクラバ・ロビ”やバリ島のジェゴク(竹のガムラン)グループである”スアール・アグン”が強烈な印象を残している。
そうした民俗音楽を扱ったドキュメンタリー映画が"大海原のソングライン"。北は台湾、南はニュージーランド島、東はチリ領のイースター島、西はインド洋西部のマダガスカル島までという、グーグルアースを使わないと実感できないような広大な地域をつないでいる音楽文化を描いている。
なぜそんな広大な地域に共通した音楽文化が存在するのかというと、最近の遺伝子解析によってわかってきたことなのだが、台湾先住民がアウトリガーカヌーを使って未知の大海原に乗り出し、南太平洋の島伝いに拡散していったからだ。
このドキュメント、ただ各地を取材しているだけではない。そうした地域のミュージシャンを多重録音と多重撮影で一つにつなぎ、壮大なスケールのアンサンブルを新たに生み出している。
共通のルーツと文化を持つ者達が時間と空間を超えて新たにつながり、それによって生み出された音楽は実に素晴らしい。とにかく聞いてみない事には・・。
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