ドキュメンタリー映画 "The 1619 Project"
Netflixなどのアメリカ資本のネットメディアサービスはなかなかに優れたドキュメンタリー映画を配信している。
なかでもアメリカ社会における黒人問題を扱った番組は充実している。”The 1619 Project”もその一つで、ニューヨークタイムズのプロジェクト記事を現地に取材して映画化したもの。執筆陣の一人であり、ピュリッツァー賞受賞者でもあるNikole Hannah jonesがこの映画の案内役となっている。
タイトルにある"1619"とはアフリカ大陸から連行されてきた黒人がアメリカ本土に初上陸した年を指す。
本として出版もされていて、その本を公立校の教科書に採用したり、反対に図書館の蔵書から追放するべきだと、左右両者から論争の的になったとのことだ。
この映画を見て知ったのだが、アメリカの開拓初期には白人の奴隷が存在し、黒人奴隷と一緒に奴隷主に対して反乱を起こした歴史があるそうだ。奴隷を表す英語のスレイブはスラブ人のスラブにその語源があるそうだ。
ずっと不思議に思っていたことなのだが、スペイン語だとムラートやメスティーソ、フランス語ではクレオールなど、黒人や先住民との混血を表す表現があるのだが、英語表現では一般化されたものがない。オバマは日本人からみればハーフなのに「黒人」初の大統領ということになっている。
どうもその大きな一因にかつての法律があるようだ。その法によると「一滴でも黒人奴隷の血が入っている者は黒人奴隷と規定される。」なぜかと言えば、奴隷所有者と奴隷との間にできた婚外子に相続権を与えないためだ。「黒人奴隷には法的権利がないので、混血児を黒人奴隷と規定すれば財産相続からその者を排除できる。・・・」 そういう理屈でいくとケビン・コスナーもジョニー・デップもアメリカ先住インディアンということになってしまう。と言うこと以上に大概の人はネアンデルタール人ということになってしまう。
同じ植民者でもスペイン人は南米で現地化していき、メキシコではメスティーソが社会の多数派にさえなっている。それに比べてアングロサクソンはどうにも偏狭な人たちのように思えてくる。
The 1619 Projectの公式ウェブサイトはこちら
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