映画「砂の器」
物故者関連の話が続くのだが、先ほど亡くなった加藤剛出演のこの映画がNetflixで目に留まった。1974年に製作されていて評価も高く、いくつもの映画賞を獲得している。原作は松本清張。
蒲田操車場で他殺死体が発見されたのだが、身元さえもなかなか分からない。丹波哲郎扮する警視庁刑事がその事件の捜査を進めていくことになり、やがてある男の人生の闇が浮かび上がってくる・・・・。
戦後すぐの社会状況を背景にしたストーリーはなかなかに骨太で、映画も丁寧に作られている。そうなのだが、捜査する側にあまりにも都合の良い偶然が次々と起きて話しが進展していってしまう。そうした偶然が原作由来なのか脚色のせいなのかは判らないのだが、ちょっと引いてしまっていまいち映画の中に入り込めない。犯人逮捕直前の捜査会議の場面も映画の観客に向けた謎解き解説に終止し、「容疑者を特定しているのになんで無駄な会議をするの?逮捕状請求ぐらい即決しろよ!」と思ってしまう。
都合の良すぎる偶然をなんとか減らして、謎解きの解説をさりげなくすれば相当良くなると思うけど。素材や役者が良いだけににかなり残念。
あら捜しはそのぐらいにするとして、役者の面々は素晴らしい。主役の丹波哲郎をはじめ、加藤剛、佐分利信、山口果林、緒方拳、松山省三、花沢徳衛、加藤嘉、内藤 武敏、稲葉義男、山谷初男、穂積隆信、春川ますみ、菅井きん、笠智衆、殿山泰司、渥美清、昭和を彩る名優達が次々と顔を出す。特に加藤嘉の存在感には凄みを感じてしまう。劇中の昭和の情景も私のような世代(ポスト団塊)には郷愁を誘って興味は尽きない。
当時若手だった森田健作がなかなかの熱演をみせる。島田陽子は下手くそだけど、体を張って脱いでいるので許そう。
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