米映画“ビリーブ 未来への大逆転”
アメリカでルース・ギンズバーグという最高裁判事の健康問題が話題になっているらしい。この映画はそのギンズバーグを主人公にして半生を描いた伝記映画。
日本では最高裁の判事が誰なのか普通の人は知らないのだが、アメリカではこの人の顔がTシャツにプリントされるぐらいの人気だとか。
話題になっている理由なのだが、トランプの再選問題に関係する。もし今秋の大統領選挙でトランプが負ける結果になったとして、本人はそれを受け入れずに訴訟に持ち込む可能性があることが取りざたされている。現に本人は「(コロナ対策のための)郵便投票は不正の温床になる。」と、伏線となりそうな事を言っている。
そうしたことになった場合には、この人が判事として最高裁に残っているのかどうかが「アメリカどころか世界にとっても“命運のかかった”大問題」になる。
映画の話に戻る。主人公は第二次大戦終了後まもなく、女性に門戸を開いたばかりのハーバードの法科大学院に入学し法曹の道を歩み始める。卒業後は弁護士を志すのだが叶わず教職に就き人材を育てることなる。その後は女性を差別している事件の訴訟にかかわり、幾多の法律を改正させる流れを作りだしていく。日本社会も知らないうちに彼女の活動の影響を受けているはずだ。
法律を武器にして社会を変革しようとする態度は日本では希薄だ。なにしろ憲法の解釈でさえ一夜のうちに閣議で変えられてしまうのだから、立ち向かうだけ無駄のような気になる。社会の通底をなすものが彼の国と日本とではそもそも違うのだということがこの映画で少し実感できた気がする。
映画の出来としてはまずまずだ。彼女の人生そのものに焦点を当てていて、説教臭いところがない。原題は“On the Basis of Sex”、邦題はなんのことやら意味不明。
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