トム・ハンクス最新作“グレイハウンド”
型落ちの4KTVが格安で出ていたものだから、ついつい購入してしまったのが半年前のこと。それ以来配信サービスをメインのソースとして映画を視聴している。
購入したTVは韓国メーカーであるLGエレクトロニクス社製で、有機ELという自発光式のパネルを用いているもの。液晶とは動作原理が全く違い、ソースさえ良ければコントラストが高くて、奥行きが感じられる映像が得られる。つい最近になってソフトウェアのアップデートがありAppleTVが視聴できるようになった。
チェックしてみると、トムハンクス主演の最新映画“グレイハウンド”がラインアップされている。予告編を見て気になっていたやつだ。料金は月額600円なのだが、7日間の無料お試し期間がある。アップル製品はこれまで一度も買ったとがないのだが、TVにはさっそく加入してみた。
その“グレイハウンド”、コロナに翻弄された不運の映画ということになる。当初は5月に劇場公開の予定だったものが、6月に延期され、ついにはアップルに買い取られて独占配信されることになってしまった。脚本も担当したトム・ハンクスは「悲しい」と言っているそうだ。
出来の方はと言えばトム・ハンクスだけあって安定、安心の水準。戦争映画なのだけど話の舞台となるところがちょっと変わっていて、駆逐艦の艦内。潜水艦の艦内を舞台にした映画は多いのだが、駆逐艦内が舞台のものは私には初めて。
時はアメリカが第二次世界大戦に参戦した初期の頃。場所は大西洋上。同盟国イギリスへ物資と兵員を運ぼうとする米輸送船団を巡り、船団を沈めようとするUボートと、護衛する米駆逐艦とが熾烈な戦闘を行う。トム・ハンクスはと言えばお察しのとおり艦長役。
この映画が描くのは海戦のごく一部。ほとんどの場面が駆逐艦のブリッジ内部だし、Uボートはもちろん僚船の内部さえまったく出てこない。描く対象を絞り込み、余計なものは削ぎ落としているのだけど、こだわるべきところは細部まで丁寧に描写していく。そのことによって得られる臨場感と緊迫感がかなりすごい。結末は予想できてしまうのだけどスリリングなことでは一級品。
これが実質無料だとは、なんだかトム・ハンクスに悪いような気が・・・。
蛇足だが、艦内の食事風景に興味を引かれた。臨戦態勢にあっても将校の食事は陶磁器の食器でサーブされる。しかも、専任の給仕はプレスの効いた白い制服に身を包んでいる。
そうした給仕達の一連の動作も簡潔だけど詳細に描写される。ストーリーの本筋とは直接関係ないのだが、そうした細部へのこだわりが作品のリアル感をぐっと高めている。脚本に書き込んだのはトム・ハンクスか?
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