ドキュメンタリー映画「わたしはあなたのニグロではない」
アメリカでSNSに投稿されて話題になったルールがある。それは投稿者である黒人青年が子供の頃に母親から躾けられたもので、外敵から自分の身を守るための術となっているものだ。
・手をポケットに入れてはいけない
・パーカーのフードをかぶってはいけない
・シャツを着ないまま、外に出てはいけない
・一緒にいる相手がどんな人か確認する。たとえ路上で会った人でも
・遅い時間まで外で出歩かない
・買わないものを触らない
・たとえガム一つだったとしても、何かを買ったらレシートかレジ袋なしで店を出 てはいけない
・誰かと言い争いをしているように見せてはいけない
・身分証明書なしに外に出てはいけない
・タンクトップを着て運転してはいけない
・ドゥーラグ(頭に巻く、スカーフのような布)をつけたまま運転してはいけない
・タンクトップ、もしくはドゥーラグを巻いて出かけたりしてはいけない
・大きな音楽をかけて車に乗ってはいけない
・白人の女性をじっと見てはいけない
・警察に職務質問されたら、反論してはいけない。協力的でありなさい
・警察に車を停止させられたら、ダッシュボードに両手を乗せて、運転免許証と登録証を出してもいいか尋ねなさい
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日本人にはちょっと想像力が及ばない世界にアメリカの黒人達は生きている。
前置きが長くなりすぎたのだが、「わたしはあなたのニグロではない」は今でも連綿と続く黒人への暴力の構造と歴史を告発したドキュメンタリー。
レジェンドとなっている黒人作家ボールドウィンの同名の原作を基に作られ、本人やマルコムX、マーチン・L・キングへのインタビューなど、当時の貴重な映像が監督の手で再構成される。半世紀も前になる過去の映像と現在の映像がオーバーラップする様が事の深刻さを浮かび上がらせる。
映画のなかでのボールドウィンの言葉は鋭い。対峙する白人のTVキャスターは茫然として言葉を失う。映画を見終わった者は誰もがこの事実と無関係ではいられなくなるだろう。今を生きる者には必見と言って良い映画だ。
あ、そうそう。サミュエル・L・ジャクソンってすばらしく美声だ。いつもはあの顔とのセットなので気が付かないのだが。
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