映画昔話、深夜興行三本立ての頃
70年代初頭、映画館での上映は日中でも2本立てが普通で、週末ともなると深夜興行で3本立てが人気だった。友人達に誘われて何回か出かけたのが東映の任侠映画3本立て。
主演は高倉健や藤純子。義理人情に篤い昔ながらの(良い)ヤクザが金儲け主義の新興(悪い)ヤクザに脅かされるというのが話の基本。
良いヤクザの親分は悪いヤクザにだまし討ちに合い殺されてしまう。一家は散りじりになるが、最後に残った兄弟分の二人が仇を討つために最後の戦いに挑むことになる。高倉健の兄弟分を演じるのは池部良。敵地に乗り込む時はあちこちから「健さん」の掛け声が。ラストシーンが終わりエンディングに入ると大きな拍手が湧いた。
良いヤクザと言うものが本当に存在していたとは思えないのだが、先にアフガニスタンで亡くなった医師、中村哲氏の祖父は小倉で港湾荷役を仕切っていた沖仲仕の親分だったそうだ。映画「無法松の一生」の中で喧嘩の仲裁に出てくる親分がいるのだが、そのモデルとされる。
蛇足) 港湾荷役はなくてはならないりっぱな実業なのだが、その中からあの山口組が出ている。今の電通あたりは虚業なので、なくても構わないのだが、政治に取り入ってオリンピックという壮大なギャンブルを仕切り、莫大な手数料を取って自分は決して損はしないようにしている。「博徒」の究極の姿かもしれない。
違う見方をすれば、本物の博徒はエンターテイメント業であるから虚業よりはましだと言えるかもしれない。かつてはヤクザの専業であった人足集め(かつては職業安定法違反)もパソナのような新勢力が隆興している。
蛇足の2)当時は上映中の館内でタバコを吸うのがあたりまえのようにまかり通っていた。深夜興行ともなれば、スクリーンは紫煙のかなたに霞んで見えるし、座席下の床はタバコの焦げだらけ。今となっては信じられないような有様だった。
コメント