ドキュメンタリー映画 "パレスチナ 1948・NAKBA"
タイトルにある「1948」はイスラエル建国の年、「NAKBA」はアラブ語で「大惨事」を意味する。パレスチナ難民にとってこの二つは結びつく。
監督した広河隆一氏はイスラエルの農業共同体であるキブツに暮らした経験を持つ。その時キブツ近くで集落の廃墟を見つける。そのことに疑問を抱いた同氏がその集落の歴史を追い始めることになる。以来イスラエルとパレスチナ双方を行き来しながら永年にわたり取材を続けてきた。その記録を集大成したものがこの映画だ。公開は2008年。
ドキュメンタリー映画は結構な数を見てきたつもりだが、パレスチナ問題を扱ったものを視聴するのはほとんど初めての経験。問題の大きさに比べて、まとめられた映像資料を見られる機会があまりにも少ない。そんな中で日本人がここまで問題を掘り下げ、これだけのドキュメンタリー映画を作り得たのは驚きだ。
この映画、ただパレスチナ側だけを取材しているわけではない。広河氏はイスラエル側の平和運動にも直接参加した経験を持ち、イスラエル人の歴史学者、元軍人などにも幅広く取材している。
パレスチナ人の難民のことをイスラエルとアラブ諸国が戦争を始めたことで、「戦火を逃れるために一時避難している人達」と理解しているとしたら、それは大きな間違いだ。この映画を見ればそのことが事実としてわかるようになる。
パレスチナ問題の事の始まりを知っておかないと、問題の全容はとうてい見えてこない。この映画はその取り掛かりとしての役割を充分に果たしているように思える。
この映画、U-NEXTで現在配信中。お試し加入すれば視聴できる。
製作者の広河氏は性加害を行ったことで告発され、現在係争中だ。経過概要はこちら
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