インド映画「女神は二度微笑む」
インド東部の都市“コルカタ(旧称カルカッタ)”はかつては黄金のベンガルと言われるほどに栄えて、詩人のタゴールや映画監督のサタジット・レイを生んだ街だ。
私のような世代にとってはそうしたことよりもバックパッカーの聖地としての印象が強い。日本で海外渡航が自由化された1964年以降、幾人もの日本の若い旅行者が単身インドを目指してこの街に降り立った。その中にはこの街の持つ不思議な魅力に取り付かれてコルカタから抜け出せなくなり、ひたすら安宿街に沈殿して過ごす者も出てきた。
まあ、コルカタで沈殿することはバックパッカー上級者の証だったわけだ。私と言えば、未だにインドには足を踏み入れたことがない軟弱者である。
そのコルカタを舞台にした映画が“女神は二度微笑む”(原題Kahaani)、ミステリーとして上々の出来栄えだ。
失踪した夫を探しにロンドンから来た妊婦が周囲を巻き込んで徐々に事件の真相に迫って行くという話なのだが、なかなかにストーリーが洗練されている。細部の描写も充分で、見ている方も異国の地であるコルカタに迷い込んだような気になってくる。話はやがて女神を讃える“プージャーの祭り”と徐々にシンクロしながらクライマックスを迎えていくことになる・・・・・・。
コルカタの街が魅力的に描かれていて、街自体がもうひとつの主役となっている。ハリウッドでリメイクされることが決まっているらしいが、コルカタあってこその映画なので、果たしてうまくリメイクできるものなのか?お手並み拝見。
※日本語版の予告編はやたらと仰々しくて見苦しい。
※タクシーも警察車両も“TATA”しか出てこない。その方がインドらしいけどね。
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