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2016年5月17日 (火)

被曝の森 “原発事故5年目の記録”

 つい最近のことだが、新聞の片隅に群馬の学校給食用に供された竹の子から基準値以上のセシウムが検出されたとのニュースが載っていた。地元で生産された竹の子だったとのことで、北関東あたりでもいまだにそうした状況にあるのかと愕然とした。

 福島の原子力事故現場から遠く離れて暮らす身である私にとっては、すでに日常の中で放射能を意識することはなくなっていて事故の記憶も薄れていっているのだが、当該事故で避難を余儀なくされている人はもちろん、周辺地域で暮らす人々にとっても依然として深刻な状況が続いているのだね。

 そんな中、NHK BSでドキュメント番組“原発事故5年目の記録”が放映された。放射能の影響で人々の居住が制限されて無人となっている地域で何が進行しているのかということを淡々と追っている。朽ち果てて植物に覆われている住宅や、猿や猪などの野生動物の天下となっている街中の映像は衝撃的だ。

 人間が居住できないほどの放射線の影響で広大な地域から人々が消えてしまったのは人類史上ではチェルノブイリに続いて福島しかないのだが、こうした環境下で放射能の長期被爆の影響を調べる研究が着々と進んでいることにも驚いた。

 世界中から研究者が現地の森にやって来ていて、野生動植物を採取し分析する作業が地道に続けられている。特に福島にはチェルノブイリにはいない霊長類のニホンザルが生息していて、研究者にとっては貴重なフィールドとなっているようだ。

 ある人にとっては、“忘れてしまいたい”過去の記憶だろうし、一部のある人にとっては“人々が忘れてしまった方が何かと都合が良い”のだろうけど、これだけの大事故を過去のものとして片付けるわけにはいかないよね。NHKには今後も頑張ってもらいたい。

 地上波ではいつの時間帯に放映されたのかは知らないが、「人々が忘れてしまった方が何かと都合が良い」と思う人にとっては面白くない番組だったのだろうな。

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