バックパッキング映画“私に会うまでの1600キロ”(原題:Wild)
バックパッキングという言葉はリュックを背負っての貧乏旅行を指すのが一般的になっているが、本来は'70年代頃に興ったアメリカのアウトドアムーブメントで、衣食住の道具一式をパックに背負い単身で荒野を徒歩旅行することを言う。精神的な源流はビートニクに行き着くらしい。
そのバックパッキングを象徴するのがアメリカのロングトレイルだ。この映画はロングトレイルのひとつであるパシフィック・クレスト・トレイルが舞台となっている。そのトレイルは西海岸沿いにメキシコ国境からカナダ国境まで続いていて、なんと全長4,200Km。
登山を主題にした映画はいくつかあるが、バックパッキングを主題にした映画はたぶんこれだけだろう。母親を亡くした喪失感で自暴自棄に陥ってしまった1人の女性がふとしたきっかけでこのパシフィック・クレスト・トレイルを歩き出し、再生の地にたどり着くという物語だ。
全編本物の大自然の中で自然光だけで撮影されている映像が圧巻だ。主役のリース・ウィザースプーンもノーメークで自分をさらけ出して熱演している。脚本も自然で、挿入されるフラッシュバックが徐々に主人公の過去を解き明かしていく。アウトドア派には必見の映画だね。
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