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2016年10月 2日 (日)

ケン・ローチ監督、映画「この自由な世界で(原題:It's a Free World)」

 労働者階級の暮らしに視点をあてた作品を一貫して作ってきたイギリス人監督であるケン・ローチの作品。2007年に公開されているのだが、この作品のことはちょっと知らなかった。WOWOWで放映されて、ハードディスクにしばらく眠っていたものをようやく鑑賞した。

 シングル・マザーの主人公は働いていた労働者派遣会社を理不尽な理由で解雇されてしまう。一念発起して、友人と小さな労働者派遣会社を立ち上げたのだが、簡単にはいかない。数々のトラブルをかいくぐるうちに、やがては・・・・・・。

 EUの拡大による東欧からの労働者流入と、サッチャー政権以来の労働者保護制度の規制緩和によって、UK(イギリス)内で労働環境が悪化しているのは聞いていたが、ここまでとは知らなかった。労働組合発祥の地であり、その社会的な影響力も日本とは比較にならないくらいに強いはずのUK(イギリス)でさえね。

 労働者派遣業とはいっても、昔日本でヤクザの資金源であった人足寄せ場と同じようなことをやっている。そのうちにタコ部屋まがいのものさえ持つようになってくる。

 古いタイプの労働者で、今は引退している主人公の父親は「法律を守って経営しているのか?」と娘に問うのだが、娘の答えは「今時そんなことを言っても通用しないのよ。」だ。

 ケン・ローチのような監督は日本にいないし、こうしたタイプの映画も日本では作られていないよね。管理職ユニオンなどのユニークな活動もあるのだし、映画ができてもよさそうなものだけど。

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