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2019年4月 8日 (月)

米ドラマ“All The Way”

 ジョンソン大統領の名前は子供の頃の記憶として残ってはいるのだが前任のケネディーと後任のニクソンがあまりにも有名で、その途中のジョンソンの印象はほとんどない。しいて言えば北爆を開始してベトナム戦争を拡大した人物というマイナスのイメージしか浮かんでこない。

 アメリカのケーブル局であるHBOがこのジョンソンを主人公にして2016年に公開したのが“All The Way”というTVドラマ。日本人にとっては地味すぎるので観た人はほとんどいないであろうけど、私にとっては大収穫の政治ドラマだった。

 主役を張るブライアン・クランストン(代表作:ブレイキング・バッド)の演技がとんでもないレベルだ。完全に役になりきってしまっていて、ただただ驚愕するのみ。無駄なシーンが1つもなく、コンパクトにまとめられたストーリー展開も秀逸。とりわけ冒頭のケネディー暗殺によって自身が大統領に昇格するまでの間を簡潔に描き尽くしているのには感心した。

 本題はジョンソンが公民権法案を成立させるまでの話なのだけど、その裏舞台の描写が生々しい。脅し、駆け引き、懐柔、盗聴となんでもありだ。公民権法案は普遍的な倫理観に基づいた法案なのだが、成立させるためには汚い手も躊躇なく使う。そうした政治のリアルさが文字通りリアルに描かれる。これを観ると評判をとった「ハウス・オブ・カード」が嘘っぱちだらけのB級ドラマに思えてくる。

 劇の終盤、ジョンソンが若い頃に貧乏教師をしていた思い出を語るのがとても印象的だ。ジョンソンって人物は俗にまみれてはいるが、一本筋の通ったなかなかの人だったのだと思えてくる。

 公民権法といえばマーティン・ルーサー・キングがもう1人の主役のはずなのだが、このドラマでは役者の格が違いすぎて勝負になっていない。まあ、ハンフリー副大統領も、フーバーFBI長官も、マクナマラ国防長官も、主役級の面々が軒並みジョンソンの引き立て役にされているのだけどね。

 ドラマの公式サイトはこちら

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