アメリカ映画“ノマドランド”
アカデミーの作品賞は見るようにしている。今年の4月に作品賞を獲得した“ノマドランド”が早くも配信された。
デジタルノマドは新しいライフスタイルとして注目されているようだが、この映画で描かれる人々はそれとは違って高齢の車上生活者。季節ごとに仕事を求めてアメリカを移動しながら暮らしている人たち。
古い映画では「怒りの葡萄」などにもそうしたアメリカの貧困層の姿が描かれているが、古くてて新しいアメリカの社会問題だ。
一人の女性を主人公にして、別れと出会いを繰り返していく彼らの生活が描かれる。出演者のほとんどが実在のノマドで、年齢層も私自身と重なる。異国のアメリカが舞台とは言え、妙に現実感を感じながら視聴した。彼らの自然体の演技がそうした現実感をさらに裏打ちする。
こうしたアメリカの機微に触れた映画を監督したのが北京生まれのクロエ・ジャオ。「ブロークバック・マウンテン」を撮ったのは台湾のアン・リーだったし、中国系の人は異文化の中に入り込んでそれを自分のものにしている。日本の映画人にも期待したいところだけど・・・。
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