映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」
この映画、一部で評判になっていたのは知っていたのだが、扱っているテーマがあまりに重たそうなのでついつい避けていた。
三島の著作は手に取ったことがないし、全共闘運動の内実というのも良く知らない。私の三島体験といえば高校の授業時間に教師が興奮した口調で「先ほど三島が自決した」と話してくれたことと、後で見たその時のバルコニー演説の映像ぐらいだ。
その事件の一年前、右と左を象徴していて互いに交わることがないと思われていた者達が討論会に臨んだ。呼びかけは東大全共闘、応じたのは三島。この映画はその記録映像と関係者へのインタビューで構成されている。
いざ見始めてみると、スリリングな展開に磁石のように引き付けられてしまう。対峙する中にもユーモアを織り込む三島の語り口が新鮮だ。討論は熱を帯び、次第に観念論に流れて難解になっていく。もう理解できなくなるのだが、合間に挟まれる識者のコメントが助けになってくれる。
映画の終わり頃、ナレーターが発する言葉がこの討論を象徴的に言い表している。曰く「熱と敬意と言葉」。比べるのも非礼だと思うが、昨今の国会討論なんかに決定的に欠けている要素だ。若い世代にもこの映画を見てもらたいものだ。
追記)歴史的資料としてこの討論のフルバージョンをどこかで見られるようにすべきだと思う。
コメント