安保関連法案に浄土真宗大谷派(東本願寺)が反対声明
明治生まれの祖父母は熱心な真宗門徒で、日常でも念仏を唱えていたのだが、孫である私はというと、葬式や法事以外に寺に出かけたことはなく、仏教徒であるという自覚も持っていない。時に僧侶の話を聞かされることもあったが、今まで胸に響いたことはなかった。
現在審議中である安保関連法案に対して浄土真宗大谷派(東本願寺)が反対声明を出したことで、毎日新聞に宗務総長へのインタビュー記事が掲載されていた。
短いインタビューだけど、道理があるよね。これで浄土真宗と私との距離はちょっとだけ縮まった。 その全文を紹介(コピペ)する。
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◇惨事、未然に防ぐ使命と責任 真宗大谷派宗務総長・里雄康意さん
真宗大谷派は5月21日、安保関連法案に強く反対する声明「日本国憲法の立憲の精神を遵守する政府を願う『正義と悪の対立を超えて』」を発表し た。先の戦争の深い悲しみと大きな願いから生み出された日本国憲法の立憲の精神を踏みにじることを認めるわけにはいかないからだ。平和憲法の精神をこれま で貫いてきた日本の代表には、武力ではなく積極的な対話による真の平和の実現を世界の人々に提唱するよう求めている。
言うまでもないが、こうした声明を出すことは決して政治運動、社会運動ではない。生きることの意味を明らかにすることを、仏(ぶつ)の教えによって求める信仰運動であることを強調しておきたい。
声明は、今回突然に生まれたものではない。
私たちの教団は、明治以降繰り返されてきた戦争を「聖戦」と呼び、多くの真宗門徒を戦場に送り込む罪業を重ねてきた。遺族だけでなくアジア諸国の人々に計り知れぬ苦痛と悲しみを強いてきた。非戦を願い説いたために「非国民」とされた僧侶たちを見捨ててきた。
その戦争責任を、1987年の全戦没者追弔法会で初めて表明し、戦後50年の95年には、改めて責任を深く反省し、非戦・平和の決意を内外に訴える「不戦決議」を出した。そこには「惨事を未然に防止する努力を惜しまないことを決意」という文言がある。
いま、安保関連法案に明確な反対を表明することが、惨事を未然に防ぐ、私たちの務めだと判断した。
戦争は、自らの正義に酔いしれ、人間の関係と存在そのものを破壊することを正義の名の下に容認する。自らを正義とし、他を悪とするのは人間存在の自我の問題だ。宗祖親鸞聖人は「自我に立つ善は雑毒(ぞうどく)の善である」と言っている。目覚めよと教えてくれているのだ。
愚かな戦争行為を再び可能とする憲法解釈や新しい立法が「積極的平和主義」の名の下に、何らちゅうちょなく進められている。過去繰り返されてきた言語に絶する悲惨な体験は何だったのか。
今の状況は国民の危機であり、私たち仏教徒は一人一人が自らの課題として受け止めるべきものだ。この問題の中にこそ、自他一如(じたいちにょ)を 説く仏(ぶつ)の教えを聞き開かなければならない。目をそらすことなく、言動する使命と責任があると考えている。各寺で、住職と門徒との間で積極的な対話 が生まれることを期待している。
声明全文はhttp://www.higashihonganji.or.jp/news/declaration/10924/
◇真宗大谷派
親鸞を宗祖とする浄土真宗の宗派の一つ。本山は京都市下京区の真宗本廟。浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺)に対して東本願寺と呼ばれる。1602年、東本願寺12代教如が徳川家康から土地の寄進を受け、創立した。所属寺院は約8800寺、門徒は約322万人。
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■人物略歴
◇さとお・こうい
1949年岐阜県海津市生まれ。大谷大文学部卒。宗議会議員、参務などを経て、2012年から宗務総長。海津市の緑林寺住職。
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