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2018年1月15日 (月)

映画“ダンケルク”

 戦争映画はたくさんあるのだが、負け戦を正面から描いた映画というのはちょっと思い浮かばない。しかも、冒頭から最後まで登場する主人公らしき若い兵卒は負け戦の現場から我先に脱出しようとし、その逃避行がストーリーの軸をなしている。

 これまでの戦争映画は戦場での英雄的行為か、それとも戦争の持つ愚かさ、不条理さをテーマにしていた。この映画はそれらのどれでもなく、ありのままの戦争を観るものに提示する。

 この映画を観るということはダンケルクという局地戦を陸海空それぞれの視点から重層的に擬似体験するということだ。ある時は空から俯瞰し、ある時は戦闘の只中に身を置く。映画の中で説明のようなものはもちろんないし、俳優の台詞もほとんどない。圧倒的なリアリティを持った映像が戦争のすべてを物語っていき、観るものはそれに引きずり込まれる。

 そうした比類のない映像を見せつけられ、見終わった後はしばし呆然となってしまった。こんな経験は初めてだ。4K環境で見直してみたいと本気で思ってしまう。

 プロデューサー兼脚本兼監督はクリストファー・ノーラン。 “ダーク・ナイト”の時は「コミックをここまでリアルに描いて何になるの?」との疑問がわいたのだけど、この映画では脱帽するしかない。

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