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2021年7月

2021年7月31日 (土)

落雷でネット機器が故障

 短期間に豪雨が降り福井市内各地に被害をもたらした29日夜半のこと、雷も激しく鳴り、我が家ではそのせいでケーブルTVのモデムが壊れてしまった。

 モデムは無償交換してもらい、新しいものに置き換えていざ立ち上げたのだが、どうにも調子が悪い、時々繋がらなくなる。速度を計測するサイトで計測してグラフになったものを見ると赤の棒グラフがやけに目立ち、いままでとは明らかに違う。赤の棒グラフはRTTを示し、最高では359msだ。20210730nec_270

 そのRTTが何なのかを調べてみると「RTT(ラウンドトリップタイム)とある。通信相手に信号やデータを発信してから、応答が返ってくるまでにかかる時間」のことを指すとのことだ。これが大きすぎると「大きな待ち時間が発生し、トータルの実効速度(スループット)や使用感が大きく損なわれる」らしい。

 そうしたおかしな挙動を示すことから、モデム以外にルーターも巻き添えになって壊れてしまったのかもしれないと疑った。そこで、昔使っていた旧式の有線のルーターを引っ張り出してきて、モデムにつないで代替えしてみた。

 結果はRTTが最高でも25.5ms。グラフも問題ないし、以前のように快適に繋がる。モデムの直下に置いてあるルーターが落雷の巻き添えになって故障していることが判明した。

20210730baffa_272

 やむを得ずルーターを新規に発注。置き換えて一件落着となった。古い機器でも故障時の検証には役立つものだ。

 追記)その後調べてみると「測定中RTT」の値は技術上の意味合いだけのものなので、「特に気にしなくて良い」と解説されている情報を見つけた。サイトはこちら。ネットを理解するのは難しい。

2021年7月26日 (月)

東京オリンピックの中間総括

 元来スポーツイベントは嫌いだ。高校の体育祭も途中でエスケープして、近くの級友宅で悪事を行っていた。

 オリンピックもあまり関心はなかったのだが、東京オリンピックをめぐっての今回の一連の騒動で広く知られてきたことがある。それは美辞麗句で修飾された理念や建前の裏に暗黒面が隠されているということだ。犯罪の影さえつきまとっている。

 そういう気分の中で"五輪というダークファンタジー”というタイトルが私の目に留まった。作家の島田雅彦氏が書いた毎日新聞のコラムだ。"ダークファンタジー"とは言い得て妙だ。現時点での中間総括としてコンパクトに良くまとまっている。

記事へのリンクはこちら

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五輪というダークファンタジー 島田雅彦さん、開会式に思う | 毎日新聞

 

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開会式が無観客開催となった国立競技場(奥)周辺を歩く島田雅彦さん=東京都新宿区で2021年7月23日午後4時4分、関雄輔撮影

特別寄稿 作家・島田雅彦さん

 1964年の東京オリンピック開会式を見た三島由紀夫は毎日新聞に寄稿し、反対論者の主張に理を認めつつ、「やっぱりこれをやってよかった。これをやらなかったら日本人は病気になる」と書いたが、57年後の今大会では「これをやったせいで、日本人の病気は悪化する」という正反対の事態に直面する。新型コロナウイルスの感染爆発だけでなく、政治、経済、マスメディア、市民生活を蝕(むしば)む病巣が確実に拡大し、日本は敗戦も同然の状況に陥りかねない。誰もその責任を取らないところも、先の大戦と同じだ。開催をゴリ押しした人々は、事後の惨状の責任を追及されても、全員が貝になり、口を固く閉ざすのだ。

 終戦から19年後に開催された64年東京大会は、日本が人権、民主を尊ぶ普遍的国家として国際社会に復帰したことをアピールし、戦後復興と経済成長の成果を謳(うた)いあげる祭典としての大義はあった。強引な開発による弊害もあったが、大会をさらなる発展の起爆剤にする「成長期のオリンピック」だった。それに対し、今大会は大義もなく、成長も見込めない、関係者の利権配分のためだけに実施される、時代錯誤の「終末期のオリンピック」である。

 振り返れば、今大会は誘致の段階から不正と虚偽のオンパレードだった。ロビー活動での賄賂疑惑、新国立競技場建設過程でのゴタゴタと予算膨張、エンブレム盗作疑惑、猛暑問題、組織委の予算濫費(らんぴ)、会長の女性蔑視発言、不適切な開会式演出プランや人選、国際オリンピック委員会(IOC)の拝金主義とぼったくり、委託事業者による中抜きなど、オリンピックのダークサイドがこれでもかというくらい露呈した。

 オリンピックの成否の公正な評価など誰にもできないが、主催者視点で考えてみれば、平和の祭典、感動と勇気を与えるといった美辞麗句で世界を騙(だま)しおおせれば、成功であろう。さらに建設会社や広告代理店、委託事業者、IOC、スポンサー企業が儲(もう)かる利権構造が完全に機能し、セキュリティー対策と称して監視システムを強化し、開催反対論を封じ込め、国威発揚や政権支持率の向上に結び付けられたら、大成功と考えるだろう。逆説的意味において、歴史上、最も成功したのは36年の第11回ベルリン大会だったかもしれない。

 ナチス独裁政権下のオリンピックは、反ユダヤ主義政策や他国の侵略計画を巧みに隠蔽(いんぺい)しつつ、アメリカの商品広告の手法を駆使し、古代ギリシャとナチスのイメージを結び付けるために聖火リレーという儀式を編み出し、競技を通じてアーリア人種の優位性を誇示した。露骨なオリンピックの政治利用はここから始まったわけだが、アメリカも近代オリンピックの創始者クーベルタンもナチスの接待と宣伝工作に乗せられ、ボイコットの声を封殺した。その4年後には日本が「紀元二千六百年記念行事」としてベルリン大会を模倣しようとするが、日中戦争拡大により幻となる。今回も誘致段階で、安倍晋三前首相が福島原発事故の「アンダーコントロール」発言をし、「復興五輪」の建前で国際世論を欺いたが、その隠蔽手法も「ナチスに学んだ」(注1)のだろう。復興は後回しにされ、仲間内で大政翼賛への回帰を夢見る「復古五輪」にすり替えられた。菅義偉首相の「コロナに打ち勝った証し」発言も「安全安心」発言も、現実離れした妄言だったが、IOCも東京都もその妄言に便乗し、オリンピックの黒歴史を反復した。オリンピックには常にナチスの影が付きまとうので、それを払拭(ふっしょく)するための努力を怠った途端、差別や蔑視、独善の体質が透けて見える。

 

 今大会で噴出した諸問題のほとんどはこれまで積み重ねてきたことの結果であり、ツケである。当初予算の4倍、ロンドン大会の2倍の予算を濫費しながら、しょぼさを感じてしまうのはなぜか? 感染対策の不備、運営上の混乱、選手村のみすぼらしさを見るにつけ、予算の使途に大きな疑念を抱く。「多様性」を謳いつつ、実態が伴わないテレビコマーシャルのような開会式も、観客がいたら、バッハIOC会長の長過ぎる能書きにブーイングが起きただろう。どうやら業務の委託を受けた広告代理店や人材派遣会社による中抜き、組織委員会の破格の待遇という内輪の利益誘導システムだけは万全に機能していたようで、大損失のオリンピックでも焼け太りした人々に対する怨嗟(えんさ)の声が上がるのは間違いない。

 市民にはパンとサーカス(注2)を与えておけば大人(おとな)しくしていると施政者は思っただろうが、パンもケチられ、サーカスの損失まで負担させられるとなったら、どれほど寛容な人でも施政者を恨み、呪うだろう。もちろん、サーカスに興じるも、白けるも個々の自由だ。選手も勇気と感動なんて与えなくてもいいので、無観客の競技場で、誰のためでもなく、自分のために孤独な戦いに臨めばいい。戦場には観客はいないものだ。自宅で、病院で、職場で、商店街で、被災地で、それぞれ孤独な生存のための戦いを強いられている市民と選手の連帯はリモートでも可能である。新たに登場したスターへの熱狂によって直面する諸問題をしばし忘れてもいい。その熱狂もすぐに冷め、怒りの矛先は再び「ずるい奴(やつ)ら」、「嘘(うそ)つき」に向かう。

 

注1

 2013年7月、麻生太郎副総理兼財務相が憲法改正に関し「(ナチスの)あの手口に学んだらどうかね」と述べ、国内外から批判を浴びた。

注2

 古代ローマの詩人ユウェナリスの言葉で、パン(=食べ物)とサーカス(=楽しみ)を与えることで市民の批判精神を奪う愚民政策のたとえ。

島田雅彦(しまだ・まさひこ)さん

 1961年生まれ。東京外国語大ロシア語学科卒。大学在学中の83年「優しいサヨクのための嬉遊曲」でデビュー。著書に「虚人の星」「君が異端だった頃」「スノードロップ」など。

2021年7月24日 (土)

PCのドライバーを更新

 PCパーツのドライバー、特にグラフィック関係のものは頻繁に更新されるのだが、いちいち更新するのは面倒だし、普段の動作に不具合がなければそのままにしてある。

 今回はCPUを交換したこともあり、マザーボードのチップセットであるAMD B450とCPUに内蔵されているVegaグラフィックチップ、その両者のドライバーをまとめて更新してみた。ほぼ1年振りのことになる。

 最新のインストールファイルをAMDから落として準備は完了。作業順としては先に旧ドライバーをアンインストールし、その後に最新版をインストールするようにとのことだ。

 手順通りに作業を完了させ、再起動させた後に効果を検証してみた。

 PCMark10を走らせてみると、スコアが5226から5332へとアップした。それなりの効果があったものと思える。

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2021年7月23日 (金)

ドキュメンタリー映画"真珠のボタン"

 パタゴニアと言えば南米最果ての地、気象条件は厳しいが美しい自然に恵まれ、世界中からトレッカーやクライマーを引き付ける。

 予備知識もなにもなく、偶然目に留まったのがそのパタゴニアを舞台にしたこのドキュメンタリー映画。穏やかな語り口のナレーションの中で、美しい自然が独自のカメラ視点で捉えられている。その映像はどこまでも美しい。

 冒頭から魅せられていくのだが、映像美を追求しただけの自然紀行ではないことが次第に明らかにされていく。その美しいパタゴニアの自然の中に近現代史における二つの悲劇が眠っているのだ。しかもこれまでほとんど知られていなかった悲劇。

 その悲劇を言葉に表そうとする努力は、この映画と比べるとむなしいものになるしかない。映像が美しすぎるだけに、それに反比例するかのような悲劇の深さが胸に迫る。ただただ、映像の力に感服するだけだ。

 紛れもなくドキュメンタリー映画の傑作だ。「見るべき映画の一つだ」と断言できる。

オフィシャルサイトはこちら

2021年7月14日 (水)

バッハ会長の宿泊先でデモ

 「オリンピックマフィア」とも「ぼったくり男爵」とも揶揄されるIOCのバッハ会長が来日中だが、宿泊先のホテルオークラ前で抗議デモがあったとのことだ。

 NHKや新聞大手は報じないが、デモぐらいはあって当然だ。これだけオリンピックが問題となっている中で、デモさえ行われないとしたら、そんな社会は不健全としか言えない。

 東京近辺に住んでいるとしたら参加したいぐらいだ。「ホテル代払え」のプラカード持って。

 ホテルオークラは安い部屋でも5万円以上。VIPが泊るような部屋はネット上では予約不可のようだ。地下鉄の駅からスーツケースを転がしてチェックインというわけにはいかないだろうから、たとえ一番安い部屋にしても私にはかなりな場違いだね。

 ソースはこちら

 ホテルオークラはこちら

2021年7月11日 (日)

PCのメモリーをオーバークロック

 AMDのCPUであるRyzenでも型番末にGと記されているものはグラフィックチップを内蔵していて、別にグラフィックボードを用意する必要がない。グラフィック用のメモリーはメインメモリーの一部を共有することになる。そのためメインメモリーの性能がグラフィック性能にダイレクトに連動していて、メモリーが高速になればなるほどPCとしての性能が向上する。

 現在はDDR4-2666のメモリーを2933に設定して運用しているのだが、Ryzen3 4350Gを導入したこともあり、もう少しクロックを上げてみることにした。

 やみくもにクロックを上げても時間の無駄なので、まずはネイティブDDR4-3200メモリーのSPD値がどれくらいなのかを調べ、それを参考にしてバイオス上で速度とタイミングを変更した。

 設定した値がこれ。

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 設定後にPCを再起動してみると特に問題もなく普通に動く。OCCTというソフトでメモリーにエラーがでないかチェックしてみても大丈夫。

 PCMark10を走らせてみたところ、5103が5226とわずかにスコアが上がった。

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2021年7月10日 (土)

アメリカ映画“ノマドランド”

 アカデミーの作品賞は見るようにしている。今年の4月に作品賞を獲得した“ノマドランド”が早くも配信された。

 デジタルノマドは新しいライフスタイルとして注目されているようだが、この映画で描かれる人々はそれとは違って高齢の車上生活者。季節ごとに仕事を求めてアメリカを移動しながら暮らしている人たち。

 古い映画では「怒りの葡萄」などにもそうしたアメリカの貧困層の姿が描かれているが、古くてて新しいアメリカの社会問題だ。

 一人の女性を主人公にして、別れと出会いを繰り返していく彼らの生活が描かれる。出演者のほとんどが実在のノマドで、年齢層も私自身と重なる。異国のアメリカが舞台とは言え、妙に現実感を感じながら視聴した。彼らの自然体の演技がそうした現実感をさらに裏打ちする。

 こうしたアメリカの機微に触れた映画を監督したのが北京生まれのクロエ・ジャオ。「ブロークバック・マウンテン」を撮ったのは台湾のアン・リーだったし、中国系の人は異文化の中に入り込んでそれを自分のものにしている。日本の映画人にも期待したいところだけど・・・。

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