映画「フロリダ・プロジェクト(The Florida Project)」
新聞の映画評を読んで気になっていた作品、アマゾンで配信されているのを見つけてレンタルした。TSUTAYAは遠いし、こうしたマイナーな映画はDVDでしか置いてないので大画面で視聴するのには解像度が不足する。
アメリカ映画なのだがかなり地味な作品だ。トランプ支持者はまず見ないだろうし、そもそも田舎の映画館ではこんな作品はかからないだろう。
あるシングルマザー親子が主人公。その親子は安モーテルに住んでその日暮らしをしている。定職はなくホームレス一歩手前にいる。住んでいる安モーテルがフロリダのディズニー・ワールドすぐそばにあるというのが話のミソ。"ディズニー”という虚構を舞台装置としてうまく取り込んでいる。
主人公である女の子ははた目には貧困なのだが、似たような境遇にある近所の子供達とつるんで夏休みを楽しく過ごしている。母親は母親でなんとか家賃を工面しながら食い繋いでいるのだが、いつまでもそんな生活は続かない・・・・・。
親子ともアメリカが理想とする家族像からはかなりハズレてしまっているのだが、キャラクターの作り込みがうまくなされていて、自然と共感してしまう。子役達の演技力を引き出した監督の力量もあるのだろうね。
映像も実に自然で、デコレーション過剰で俗悪と言えるような数々の建物がうっとりするほど魅力的に思えてくるのだから不思議。声高になにかを主張しているわけではないのだが、メッセージの強さも伝わってきてなかなかの佳作となっている。見終わった後は登場人物すべてが愛しくなってしまった。
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