憲法と言ってもアメリカの憲法の話。Netflixは意外にも社会派のドキュメンタリーが結構充実している。タイトルにある「修正第13条」は奴隷解放をうたった条項なのだが、刑務所での懲役は例外としている。
そこで廃止された奴隷制に代わって刑務所制度が奴隷制の代替をしていると告発しているドキュメンタリーだ。
なんとも衝撃的な統計データが出てくる。世界人口に占めるアメリカの人口は5%なのだが、収監されている人(囚人)の比率は世界の25%。これだけでも充分異常な数字なのだが、まだまだある。
1970年のアメリカの囚人は35万7千人だったのだが、2014年では230万6千人。アメリカ社会に重大な欠陥があることが一目瞭然となるデータだ。
背景には複合的な要素がある。保守政治家が自身の政治基盤を強めるために有色人種への恐怖をあおって刑法犯への重罰化をすすめてきたこと。薬物所持などの犯罪の摘発が有色人種居住区域に偏っていること。所得の低い有色人種は無実であっても司法取引に応じざるを得ず、有罪を認めてしまうことが多いこと。とにかく問題が多すぎる。
こうしたいびつな制度に食い込んで刑務所を運営する大手民間会社のCCAは年間17億ドルの利益を得ているというから驚きだ。まさに底辺の人々を食い物にする現代の奴隷制度と言うべきもの、映画の中ではこれを“産獄複合体”とよんでいる。
州によっては犯罪歴があると永久に選挙権が失われる。アラバマ州の黒人成人男性の実に30%が永遠に政治参加の機会を奪われたままになっているそうだ。
昔々、70年代のことになるが、アンジェラ・デイヴィスという人が書いた「もし奴らが朝に来たら」という本を読んだことがある。その本はこうした刑務所制度を告発していたのだが、状況は当時よりさらに悪化している。格差は広がるばかりだし、「不法移民はレイプ魔だ」と公言する大統領が出てきたのだから。
そのアンジェラ・デイヴィス、このドキュメンタリーの中でインタビューに応じている。すっかり歳はとってしまっているのだが、相変わらず輝くようなカッコ良さだ。
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若き日のアンジェラ・デイヴィス
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