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2022年1月

2022年1月23日 (日)

地味だけど新鮮、アメリカ映画 "コロンバス"

 さりげないカットと細かいセリフを積み上げて徐々に登場上人物の人となりやバックグラウンドを掘り下げていくというのは、良い映画であるための大事なポイントだ。

 この"コロンバス"という映画はそれに加えて、物語の舞台である街全体をもう一つの主役として取り込み、映画の魅力を更に高めている。建築には詳しくないのだがインディアナ州にあるコロンバスはモダニズム建築で有名とのことだ。それらの建築群を劇中のシーンに挟んでいくのだが、陰影に富んだその映像が実に魅力的で美しい。

 ストーリーはシンプル。高校を卒業したばかりで地元図書館でアルバイトとして働く女性が韓国からやってきて街に滞在を余儀なくされている男性と知り合い交流していくというだけ。二人を結ぶ共通点がモダニズム建築。話に起伏はないのだが最後までずっと惹きつけられる。主役である女優ヘイリー・ルー・リチャードソンのチャーミングな演技と魅力的な建築群の成せる技だろうね。

 私にとっては久しぶりの超掘り出し物映画なのだが、私が知らなかっただけで世界各地の映画祭で評判をとっている。 

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監督は韓国出身のKogonadaという人、日本の映画監督小津安二郎を敬愛しているとのことだ。

2022年1月 3日 (月)

近未来、SFブラック・コメディ "ドント・ルック・アップ”

 Netflixで目に留まったのがこの作品。なにせ出演陣が豪華すぎる。デカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット。ギャラの総額は果たして?

 地球にぶつかる大型彗星を発見した天文学者二人、ホワイトハウスに呼ばれるのだが、当の大統領は危機感ゼロのままでどうにもならない。そこで大手ネットワークのニュース・ショウに自ら売り込んで警鐘を鳴らしてもらおうとするのだが、そこでも・・・・・。

 ブラックなコメディで近未来SFというのは好みなのだが、「ドント・ルック・アップ」というタイトルからして最近のアメリカの世相をジョークのネタにしている。前大統領やTVショウ、SNSの影の部分をブラックテイストの笑いに仕立てているのだが、その手際の良さは実に小気味が良い。

 監督・脚本はアダム・マッケイという人で、経歴を見ると多作の人だ。彼の職人魂が全開なのだろうな。最後まで存分に楽しめました。5点満点だと4++。

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