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2016年9月

2016年9月26日 (月)

バックウィート・ザディコ(Buckwheat Zydeco)

 ザディコ音楽は米ルイジアナ州が中心地のルーツミュージックで、フランスからの入植者の音楽やブルーズなどが源流の混血音楽だ。そのザディコ音楽を代表するミュージシャンである“バックウィート・ザディコ”が24日に亡くなった(享年68才)。

 かなりの昔、ネビル・ブラザーズのライブ・セッションに彼のバンドがゲスト出演していて、その時に“ザディコ音楽”なるものを初めて耳にしたのだが、それまで見たことも聞いたこともない独特の味わいを持つ音楽に、いやはやアメリカの大衆音楽は奥が深いなと感心したものだ。追悼のために一曲紹介。

 近所の友人が集まって演奏しているような、ほのぼのとしたビデオだね。↓

2016年9月17日 (土)

映画「レヴェナント:蘇えりし者」

 映画の冒頭、水が流れ込んで川のようになっている暗い森を第三者の視点でカメラが進んでいく。一体なんだろうかと思っていると、やがて画面の左右にカメラと同じ方に進んでいく人影が現れ、主人公達が狩りを行っているのだとわかってくる。観る者を引きつける斬新な映像で、只ならぬ映画であることが伝わってくるシーンだ。

 時代は銃がまだ先込め式だった頃、場所はアメリカのミズーリ川奥部。話はシンプルな復讐劇なんだけど、冷たい色調で映し出される大自然の描写に圧倒される。どれだけの時間と労力をロケ撮影に注ぎ込んだのだろうか。デカプリオの演技もさすがの貫禄、ハワード・ヒューズを演じた「アビエイター(The Aviator)2004年公開」では色気が不足していると言われていたが、今や堂々たるものだ。齢を重ねるとともに得られるものもあるのだね。

 監督の“アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ”には今度も脱帽。

Rvnt

2016年9月 8日 (木)

映画「パディントン」

 実に他愛もないファンタジーなのだが、大ヒットしたのも頷ける出来だ。

 筋立てをあれこれ言っても始まらない。主人公の熊“パディントン”の仕草や言葉遣いがとにかくキュートだ(カワイイともいう)。脇役である隣家のオジさんやタクシードライバーのとぼけた表情も半端なく可笑しい。ニコール・キッドマンは型どおりの悪役を演じているのだが、それ以上ではないので他の脇役達に食われてしまっている。

 観終わったところでロンドンへ行ってみたくなった。

Paddington

2016年9月 4日 (日)

映画「ディーパンの闘い」

 スリランカ内戦に敗れて、フランスに逃れてきたタミール人軍事組織の元兵士が主人公。

 映画の冒頭、フランスへと渡航する様子が描写されていくのだが、説明的な台詞や解説が見事なほどにない。簡潔にすべてを物語っていく映像が素晴らしい。

 暴力が衝突する世界から逃れてきたものの、主人公は逃れた先でもやがて暴力に向き合わざるを得なくなる・・・・・。

 擬似家族、移民、フランス底辺の社会問題、いろんな要素を巧みに取り入れて見応えのある作品に仕上がっている。ラストシーンは好みが分かれるところだけど、今年度自己ベスト10入りは確実だ。

予告編も良いね。

監督は“預言者(A Prophet)”のジャック・オーディアールという人、あの映画も傑作だった。

日本語版の予告編は説明だらけで酷い出来だ。

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