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2016年10月

2016年10月31日 (月)

映画「ドローン・オブ・ウォー」

 題材が題材だけに敬遠していたのだけど、WOWOWで放映され視聴した。意外にも、ドローン機を使用した戦争がまじめに描かれている。

 イサーン・ホーク演じるドローンパイロットはアフガニスタン域内でのドローン機による地上攻撃に従事しているのだが、任務になじめくて違和感を感じ、家庭生活もギクシャクするようになっている。そこにCIAからの作戦命令が降りてきて、非戦闘地域のイエメンでドローン攻撃をすることになる。判然としない対象にミサイルを撃ち込めとの命令に、女性の副パイロットは「これは戦争犯罪だ!」と思わず口に出す・・・・。原題が“Good kill”とは意味深だ。

 フィリピンのドゥテルテ大統領が司法手続きを経ない処刑を行っているとして非難されているが、アメリカも同じことだ。ドゥテルテは自国内でやっているが、オバマは他国でやっているということが違うだけ。

 ちなみに、米政府は“9.11”以降、EU域内で民間人を司法手続きなしに拉致監禁しているとして非難されている。ソースはこちら

2016年10月23日 (日)

ボブ・ディラン

 ノーベル文学賞の受賞は意外だったけど、辞退や拒否ではなくて「受賞無視」という選択肢があったとは更に意外だった。ディランはアメリカ大統領からも勲章をもらっているそうだし、ラスベガスと言う俗物の権化のような街でコンサートをするぐらいの人なのだから、いまさらそうした選択をするというのはちょっと腑に落ちないのだが、まあ個人の意思だから仕方ないよね。主催者に失礼だというのはそうだろうけど。

 ところが、主催者側の委員長が「無礼で傲慢(ごうまん)だ。」と言っているらしい。ノーベル賞がいくら国家レベルのイベントだからと言って、本人の意思と関係なく選考したのだから、そういう結果もあることはもっと素直に受け入れるべきだと思うけどね。ファンレターに返事が来るとは限らないでしょう。

 ところで、ディランが活動し始めた頃のアメリカのフォークムーブメントを題材にした映画に、コーエン監督作品の『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』がある。ディランはメジャーデビューすることができたが、埋もれたままで世に出ることがなかったフォークシンガーの姿を描いていて、地味なのだが味わい深い。

2016年10月15日 (土)

“Return to Forever”のブルーレイ・ディスクを購入

 私の中でジャズピアニストということで真っ先に思い浮かべるのは何故かチック・コリアだ。そのチック・コリア率いる“Return to Forever”のライブ演奏を収録したブルーレイディスクをアマゾンで見つけて発注した。本体がなんと1,062円、送料が350円で計1,412円だった。2週間程でアメリカより到着。

 収録は2008年7月18日のモントルー・ジャズ・フェスティバルにて。ライブ前半はエレキ編成で、後半はアコースティック編成での演奏なのだが、私としては後半のアコースティックバージョンにはまった。チック・コリア、スタンリー・クラーク(ベース)、アル・ディ・メオラ(ギター)、レニー・ホワイト(ドラム)、皆さん円熟の職人芸を披露してくれる。

 音質も画質も良いね。90インチのスクリーンに投射し、ロスレス・サラウンド音声で視聴すると会場の特等席にいるようだ。1,000円ちょっとでこんな贅沢感に浸れるなんて!!

2016年10月10日 (月)

「過労死白書」なるものが刊行されるようだ

 過労死が社会問題となってから久しい。「KAROSHI」は国際語となっている。

 その遺族などの働きかけで過労死等防止対策推進法が2014年に制定され、今回の厚労省による「過労死白書」につながったようだ。政府機関がそうした白書を作成するのは世界初らしい。本当に恥ずべきことだ。

 最近も若い前途ある人が過重労働により自死に追い込まれ、遺族が労災認定を受けたとのニュースをいくつか目にした。

 過労死は明らかに社会制度の欠陥に起因する人災だ。G7参加国でそんなことが問題となっているの日本だけ。防止対策を推進するまでもなく、明日にでも手を打てることがあるはずだ。

 まずなによりも時間外労働に対する割増率が日本の場合は低すぎる。使用者は時間外労働をさせても大したコストアップにならないので、労働時間を所定内に収めようとするインセンティブが働かない。あまつさえ割増賃金の不払いさえも横行しているのだが、取締する体制もゆるすぎる。そんな輩には実刑を食らわさなくては。

 割増賃金の世界との比較については内閣府の有識者会議専門チーム会議資料に掲載されている。資料リンクはこちら

 過労死白書へのリンクはこちら

2016年10月 2日 (日)

ケン・ローチ監督、映画「この自由な世界で(原題:It's a Free World)」

 労働者階級の暮らしに視点をあてた作品を一貫して作ってきたイギリス人監督であるケン・ローチの作品。2007年に公開されているのだが、この作品のことはちょっと知らなかった。WOWOWで放映されて、ハードディスクにしばらく眠っていたものをようやく鑑賞した。

 シングル・マザーの主人公は働いていた労働者派遣会社を理不尽な理由で解雇されてしまう。一念発起して、友人と小さな労働者派遣会社を立ち上げたのだが、簡単にはいかない。数々のトラブルをかいくぐるうちに、やがては・・・・・・。

 EUの拡大による東欧からの労働者流入と、サッチャー政権以来の労働者保護制度の規制緩和によって、UK(イギリス)内で労働環境が悪化しているのは聞いていたが、ここまでとは知らなかった。労働組合発祥の地であり、その社会的な影響力も日本とは比較にならないくらいに強いはずのUK(イギリス)でさえね。

 労働者派遣業とはいっても、昔日本でヤクザの資金源であった人足寄せ場と同じようなことをやっている。そのうちにタコ部屋まがいのものさえ持つようになってくる。

 古いタイプの労働者で、今は引退している主人公の父親は「法律を守って経営しているのか?」と娘に問うのだが、娘の答えは「今時そんなことを言っても通用しないのよ。」だ。

 ケン・ローチのような監督は日本にいないし、こうしたタイプの映画も日本では作られていないよね。管理職ユニオンなどのユニークな活動もあるのだし、映画ができてもよさそうなものだけど。

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