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2022年12月29日 (木)

NHK BS4K放送、4Kリマスター版”アラビアのロレンス”

 NHKのBS4K放送はBSプレミアで放映されたフルHD素材のものを4Kにアップコンバートして再放送するものが多く、電波の無駄のように感じる事が多い。ただし8Kカメラで収録したドキュメンタリー番組などでは、アッと驚く高画質の番組に出合える。

 今回エアーチェックした”アラビアのロレンス”は1962年に公開された往年の名作映画。大判の70mmフィルムで撮影されている。4Kに修復リマスターされているとのことで期待しつつ視聴した。

 結果は期待以上のもので、中身も画質も極上と思える番組だった。こってりと色乗りが良く、ノイズ感は皆無、解像度はリアル4Kで、隅々まで鮮明。4K放送の良さを堪能できた。

 SD素材であるDVD版”アラビアのロレンス”を持っているので両者を比較してみた。その歴然とした差にDVDは過去の遺物になってしまっていることを実感する。

 DVD版Dscn3919_1208

 4K放映、軍服や皮膚の質感がまるで違うDscn3917_1207

 遠景の一部を切り取りしたDVD版

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 4K放映、解像度の違いが一目瞭然Dscn3915_1206  

 DVD版Dscn3926_1210 

 4K放映、砂の粒子が感じとれる。Dscn3911_1211

 この映画の4K UHD blu-rayディスクは輸入品で15,000円以上もするようだ。このエアーチェックはお宝確定となり永久保存することにした。(ハードディスクが壊れるまでだが)

2022年10月11日 (火)

”クリストファー・ウォーケン”てミュージカル俳優だったのか・・

 ”クリストファーウォーケン”って、強面のギャング役が印象に残っていて、踊る姿というのは想像できなかったのだが、軽やかにステップを踏むミュージックビデオに出ていたのだね。それも2002年にグラミー賞を受賞しているとのことだ。

 ミュージカル俳優だったとはつゆ知らなかった。軽やかに喜々として踊っているお姿は、いやはやいいわ。これからも元気に活躍して欲しい。

2022年9月29日 (木)

"Lightning in a bottle" ブルーズ生誕100周年コンサート

 ブルーズが音楽形式として生まれたのが1903年とのこと、それから100年後の2003年にニューヨークにおいて記念コンサートが開催された。そのコンサートは映像として記録され"Lightning in a bottle” という映画になっている。

 映画はかなり前にBS放送のWOWOWで放映され、エアーチェックして何度か視聴してきた。だが、DVDにダビングしてあるものだから4Kが普及した今となっては画質と音質に不満が残る。

 アメリカではブルーレイ版が発売されているので、それを入手しようとしたのだが既に廃版となっていて、中古でもアマゾンUSAで50ドル以上もする。送料もかなりするので円安の今ではちょと厳しい。

 そこで、日本版の中古DVDで手を打つことにした。中古レコードでは大手のディスクユニオンがアマゾンに出品しているのを見つけ、発注した。本体1,575円に送料が350円だった。

 届いたDVDはというと、開封はされているのだが新品同様のもので同封のリーフレットにはシワひとつない。

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 その夜早速に視聴した。コントラストと色乗りが良くダビングしたDVDとは全然違う。音もDolby5.1 Surroundなので文句なし。

 肝心のコンサートだがブルーズファンならば必見と言って良いもの。往年のブルーズマンから若手までが勢揃いしての空前絶後のコンサートとなっている。老齢の出演者曰く「こんなイベントに参加できる日が来るなんて夢のよう、生きていて良かった」。私にとっても永久保存のお宝DVDとなった。

 Angélique KidjoとBuddy Guyが共演した "Voodoo Child"

2022年9月26日 (月)

「ゆきゆきて神軍」奥崎謙三ドキュメンタリー

 奥崎謙三と言えば、団塊の世代から少し下ぐらいまでには聞き覚えのある人も多いはずだ。

 彼のことも、彼を題材にしたドキュメンタリー映画「ゆきゆきて神軍」(1987年、原一男監督)も知ってはいたのだが、題材が題材だけに今の今まで視聴することはなかった。敬遠していたと言った方が良い。

 それが、「ついに」と言うべきか、「とうとう」と言うべきか、視聴してしまった。一見しての感想は「驚くべき人物が、驚くべき人生を送り、驚くべき映画が出来上がった。」と言うこと。

 奥崎謙三は旧日本陸軍兵士としてニューギニアに派遣され、千数百名の部隊員のうち30名ほどしか生き残らなかったという苛烈な戦争体験をしている。復員後はその戦争の責任を生涯かけて追及してきた。普通と違うのは体を張って追求してきたことだ。そのため4度の服役も経験している。あまりにも強烈な人物だ。

 あれこれ言葉にしても始まらない。とにかくこの映画は観るしかない。かき回された感情の後に何が残るのかは観る者次第。

奥崎謙三のWikipediaはこちら

映画の公式ホームページはこちら

2022年9月23日 (金)

昔々に録画した長尺映画を視聴

 映画も2時間を超えたものだと、たとえ録画はしたとしても見るのはついつい後回しになってしまう。そうこうしているうちにハードディスクが一杯になってしまい、光ディスクに「ダビング」するか、「視聴」するか、「消去」するかの選択を迫られることになる。

 今回「視聴する」との選択をしたのは「愛と哀しみのボレロ」、2013年に録画してあったので9年後にしてようやくのことだ。クロード・ルルーシュが監督し、1981年に公開されたもので上映時間は何と3時間4分。

 ボレロのダンスシーンが有名というだけで、予備知識も特になかったのだが、長さを意識せずに最後まで見終えることができた。

 物語の舞台はパリ、ベルリン、モスクワ、ニューヨークの4都市。第2次世界大戦が始まり4組の家族が時代に翻弄されることになる。彼らの出会いと別れを物語に紡ぎながら、それぞれの家族の歴史が重層的に語られていく。そして最後には・・・・。

 圧巻はやはり最終盤のダンスシーン、エッフェル塔を背景にしてボレロが踊られる。日頃クラシックバレエにはとんと関心がないのだが、このダンスには魅了させられた。踊り手のジョルジュ・ドンという人は1992年に亡くなっている。映画のキャッチコピーが「愛よ響け、魂よ踊れ!」

 長尺映画をキーワードにして検索してみると結構な数が出てくるのだが、不思議と大抵の映画を視聴している。

 ”旅芸人の記録”、”ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ”、”アラビアのロレンス”、”ラスト・エンペラー”、”地獄の黙示録”。"7人の侍"が3時間27分もあるとは意外だった。見始めるとあっという間だよね。

2022年8月 9日 (火)

ギレルモ・デル・トロ監督、映画"ナイトメア アリー" 

 この人の監督作品ではパンズ・ラビリンス(2006年)が何と言っても印象に残っていて、私の中の生涯ベスト10には入っている。過酷な現実世界を生きる少女と、それ故に膨らんでいく内面のファンタジー世界を見事に映像化した傑作映画だった。

 今度の"ナイトメア アリー"は放浪生活を送っていた主人公が見世物興行の一座に拾われて、そこで頭角を現していくという話。やがて身に着けた心霊術で都会のショービジネスの世界へ転身していく・・・。

 ファンタジー映画ではないのだが、時代背景も古く、日本の片田舎に住む身には異質すぎる世界の話。リアル感はないのだが凝りに凝った映像に圧倒される。特に大都会でのシーン背景となるアールデコのインテリアにはウットリ。Fistc0nvcaatc7e

 主演のブラッドリー・クーパーやケイト。ブランシェットなど俳優陣も豪華。なかでも脇を固めていたトニ・コレットが良い味を出している。

 なかなかに楽しめたのだが、終盤に入ってから結末が読めてしまったのがちょっと残念。 

2022年6月 5日 (日)

スティーブン・ソダーバーグ監督映画 "クライム・ゲーム”

 この人の作品は結構好きで、フィルモグラフィーを眺めてみると半分ぐらいは見ている。

 好きな監督と好きなベニチオ・デル・トロが出演することもあり視聴を開始した。犯罪映画なのだが、ストーリーは淡々としていて、派手な見せ場があるわけでもない。

 そのことが役者の存在感と相まって映画のリアル感を高め、先が読めない展開に引き付けられることになる。

 脇役として活躍していたドン・チードルが堂々の主演だ。歳を食ってきたのだがいい味を出している。最近観た犯罪映画としては大収穫の作品だった。

2022年5月10日 (火)

仏映画"燃ゆる女の肖像”

 2019年公開のフランス映画、世界各国の映画祭で評判になったとのこと。

 素材が新鮮だ。舞台は18世紀後半のフランス、ブルターニュ地方。肖像画の依頼を受けた女流画家が孤島にある館に赴く。肖像画はお見合いのためのもの。描かれることになる当人は描かれること自体を拒否している。散歩の同伴者を装って対象を観察する画家なのだが、やがて・・・・・。

 主演する女優二人の演技が特筆ものだ。カメラがアップで迫る中、目と表情で役柄の内面を表現していく。照明が自然で古びた館内での映像が美しい。

 終盤近く、主役の一人「アデル・エネル」をカメラは遠くからズームインしていく。一言も発せずその横顔だけで内なる激情を表現していくのには驚愕した。

 監督と脚本はセリーヌ・シアマという人、カンヌ映画祭で脚本賞を受賞している。

 私の生涯ベスト50にノミネートしなくてはいけない。

2022年4月30日 (土)

アメリカ俳優‟スタンリー・トゥッチ”

 この人はハリウッド映画ではかなりの頻度で見かける。ゲイのデザイナー役からちょっと冴えないサラリーマンまで役柄の幅は広い。

 調べてみると年に4本ぐらい出演していて、脇役なのだが、超売れっ子と言って良い役者だ。私の好感度はかなり高い。

 最近「ペリカン文書」という昔のサスペンス映画を久しぶりに見かえしたのだが、意外な役柄で出演している。なんと殺し屋役。

 彼には全然似合わないよ。役柄が広いと言っても限度はある。多分だけど、殺し屋役のオファーが来ることはもうないだろうね。

 ハリウッド版の“Shall We Dance”で熱演。 

2022年4月 6日 (水)

ドキュメンタリー映画 ‟シークレット・ラブ 65年後のカミングアウト”

 同性愛を描いた映画はごく普通になったが、ドキュメンタリー映画を見るのは初めて。

 アメリカ北部で65年以上一緒に暮らしていたレズビアンカップルがいる。仲の良い友達として周囲に振舞っていたのだが、カミングアウトを決意する。映画はそのカップルの過去を探り、その行く末を追う。

 日本では異性装をする人は昔から結構いて、芸能界では人気キャラの一つなのだが、アメリカの場合は宗教上の規範に由来して同性愛自体が犯罪とされ、異性装をしているだけで逮捕された。

 シカゴのデイリー市長は1968年に開かれた民主党全国大会へのデモを弾圧したことで有名な人なのだが、なんと、行政が掴んだ同性愛者の名簿を公表している。そのことにより多く同性愛者達がが職場を追わることとなった。

 主人公である彼女たち二人はそうした息苦しい時代をなんとか耐え、ついにカミングアウトに至る。その二人を今では周囲があたたかく見守るようになった。しかし、老齢となり身体機能が低下していく二人には新たな試練が待っている。

 時代は変化してきたのだが、何時でも変わらない愛を育んできた二人の姿はとてもチャーミングだ。

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