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2014年9月

2014年9月26日 (金)

Le Vent nous portera

普段はハードディスクに溜め込んでいる懐メロの類しか聞いていなくて、新しい音楽が耳に留まることはあまりないのだが、映画「海と大陸」のエンド・ロールに流れていた"Le Vent nous portera"にはひさしぶりに心を引かれてしまった。

映画は不法移民を扱ったイタリア映画。重たいテーマなのだが、最後までぐっと引き付けられる佳作だ。

歌い手Sophie Hungerのライブ映像がYoutubeにあったのだけど、荒くてざらついた映像のままワンカメラでずっと彼女を捉え続ける。とても印象的だ。

2014年9月22日 (月)

低音過多なファンク・ミュージック

サブウーファー導入を機に引き続き手持ちのCDを聞きなおしているのだが、とんでもない低音過多の曲があった。サブウーファーを使わないと極々普通のファンク音楽なのだが、ウーファーのスイッチを入れると一変する。

気になったのでパソコンにその曲を取り込み、周波数分布を調べてみた。赤が最大値、緑がリアルタイム値。

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40Hzから60Hzぐらいがドーンと盛り上がっていて、ピークでは中域と比べて20db(音圧で10倍)程高くなっている。30Hzでも中域と同じレベルだ。この尋常ではないレベルの低音に身を包まれるとまあ気持ちが良い。

演奏は"The Wild Magnolias"というネイティブ・アメリカンが中心メンバーとなっているニューオリンズ・ファンクのグループ。CDは"Life is a Carnival"、問題の曲は"Peace Pipe"。娘から貰い受けたCDだ。

こうしたニューオリンズあたりのアメリカ南部音楽は好みだ。

港町であるニューオリンズを築いたのはフランス人で、もともとはフランス領だったのだが、1803年にアメリカが買い取りアメリカ合衆国領になっている。当時のニューオリンズにはフランス人と黒人とが混血したクレオールと呼ばれた裕福な自由身分の人達が住んでいたのだが、アメリカ領になって以降徐々に没落した。その過程でクラシック音楽の素養を持っていた彼らが、彼の地の音楽に大きな影響を与えていったらしい。

参考文献: 大衆音楽の真実 (中村とうよう著、ミュージックマガジン社刊)

2014年9月20日 (土)

スコットランド独立投票

残念な結果だったけど、アメリカに追随して金儲け至上に走るロンドン中央政府に一泡吹かせたのは痛快だった。

経済学者の浜矩子(敬称略)は辛口のコラムを毎日新聞に書いていて、私はいつもそれを楽しみにして、面白く読んでいるファンなのだが、今回の独立投票に関してのコラムがさっそく載っていた。

なるほどだね。記事全文をコピペでご紹介する。

記事へのリンクはこちら

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危機の真相:諦めることなかれ、スコットランド 熱血と計算高さと=浜矩子

毎日新聞 2014年09月20日 東京朝刊

 スコットランドは独立国となるか。住民投票の結果は「ノー」だった。実に残念。この間、このテーマを巡って、二つの記憶が筆者の頭の中を去来した。

 記憶その1は、多感なりし少女時代のものだ。1960年代前半、イギリスで暮らし始めて間もない頃、両親につれられてスコットランドの旅に出た。バス旅行の途中でティータイムストップがあった。ホテルの喫茶室で給仕してくれた陽気なおばちゃんが、「この小さいお嬢ちゃんには何を差し上げましょうか?」と言ってくれた。

 その時思った。「ああ、やっぱりスコットランド人はこういう英語をしゃべるんだ。テレビと同じ!」

 記憶その2は、90年代初めのものだ。前記の少女時代以来、久々のロンドン暮らしが始まった頃だ。前職だった三菱総合研究所の駐在員事務所長として、何とか仕事の体制が整い、面白そうなシンポジウムに出かけてみた。欧州連合(EU)内における地方自治のあり方を議論する会合だった。

 自決心旺盛な地域共同体の代表たちが、各国からスピーカーとして登場した。その中に、現スコットランド民族党党首で自治政府首相のアレックス・サモンド氏がいた。何しろ、今を去ることほぼ四半世紀近く前の話だ。サモンド氏の体重は、今のほぼ半分弱といったところだったろう。あの時に比べて、すっかり体形は丸っこくなった。だが、独立スコットランドをうたい上げるその舌鋒(ぜっぽう)の鋭さは、今もあの時も変わりはない。

 熱さと計算高さが絶妙に絡み合う。このしたたかなスコットランド魂を、サモンド氏が長きにわたって体現してきた。その成果が、ついに今回の住民投票として結実した。まさかここまでくるとは。これが、「国境の南側」の人々(スコットランド人たちは、イングランド人たちをこう呼んできた)の思いだ。そもそも住民投票が実現すること自体について、彼らは「まさか」感を抱いていた。いわんや、否定されたとはいえ、かくも独立支持派が勢力を持つとは、およそ想定していなかった。

 征服者と被征服者の違いはかくのごときものだ。征服した方は、被征服者の痛みを容易に忘れる。被征服者の思いは、時を超えて受け継がれていく。過去は忘れよう。かつて征服者だったイングランド人がいくらそう呼びかけても、かつて独立国だったスコットランドの人々は、神経を逆なでされるばかりだ。

 基地や原発などの迷惑施設は、なぜ特定の地域に集中配置されるのか。その見返りとして、カネさえ出しておけば何とかなる。「最後は金目でしょ」。為政者たちは、なぜそのように思うのか、この間のスコットランド模様を見守りながら、このような少々別のテーマにも思いが及んだ。

 必ずしも、スコットランドが英国政府に金目で小突き回されてきたとはいえない。だが、住民投票が「まさか」の方向に行く気配を感じて、「国境の南側」が示したパニックぶりをみていて、ふと、前記の連想が頭をよぎった。「国境の北側」の人々の思いの深さとその思いの性質について、南の衆はやっぱり感受性が鈍い。

 ところで、今回の住民投票には一つの面白い特徴があった。スコットランド在住者なら、誰でも投票権があった。何も、スコットランド生まれの生粋のスコットランドっ子である必要はなかった。イングランド出身者であろうと、他の欧州諸国からの移住者であろうと、かまわない。住民投票だから当然といえば当然だが、なかなか合理的だ。これもまた、スコットランドらしい。常識と熱血のバランスが程よい。

 そして、非スコットランド人の在住者たちは、かなりの割合で独立支持側に入ったらしい。確かな数値を持っているわけではないが、現地からの口コミによれば、どうもそうなった模様だ。一寸の虫が五分の自決心を輝かせることに、非スコットランド人の在住者たちもエールを送った。

 ちなみに、大陸欧州系のスコットランド在住者の中では、ポーランド系住民のウエートが高い。ポーランドといえば、現代史の中において、まさに自決のための闘いが絶えなかった国だ。当初はドイツを相手に。そして、やがては旧ソ連を相手に。文字通り、命がけで祖国の独立を奪還する闘争に挑んだ。そのポーランド人たちがスコットランド在住者となった時、独立支持に票を投じたとすれば、それは大いに納得がいく。

 もっとも、同じポーランド精神が、別の形で表れたケースもあった。スコットランドに住み始めてまだ半年のあるポーランド人は、今回の投票に参加することを遠慮した。その彼いわく、「これはスコットランド人にとってあまりにも重要な問題過ぎる」(18日付英フィナンシャル・タイムズ紙)から、新参者の外国人が投票するのは差し出がましいというわけだ。

 この心意気もなかなかいい。民族自決の思いを共有するものたち。その同志精神は爽やかだ。粘り強きスコットランドよ、どうぞまた捲土(けんど)重来を。

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 ■人物略歴
 ◇はま・のりこ

 同志社大教授。次回は10月18日に掲載します。

2014年9月11日 (木)

アメリカ映画"スモーク"、人情話

昔に見た映画だが、レンタルショップの棚にあるのを発見。
"ハーヴェイ・カイテル"と"ウィリアム・ハート"の二人が主演していて、両者とも好きな役者だ。

舞台はニューヨーク市のブルックリン、現在は再開発されて賑やかになっているらしい。
ハーヴェイ・カイテル演じるタバコ店のオーナーとウィリアム・ハート演ずるスランプに陥っている作家、二人を軸にストーリーは展開していく。

日本の講談や落語の世界にどこか通じるような人情話で、映画の最後に挿入されるエピソードにはほろっとさせられる。アメリカ映画でこうした人情話に徹したものというのはちょっと他に思い当たらない。

9.11以降アメリカへの入国手続きが面倒になっているらしいし、ブッシュJr.政権以降続いている一連の政策のせいで、私の中ではアメリカのイメージがすっかり低下してしまっていて、もはや観光旅行でさえ行きたくない国になっているのだが、この映画を見ると「ブルックリンだったら住んでみてもいいかな」と思えてくる。

'95年製作で、そういえばウィンドウズ95が発売された年だ。当時はクリントン政権。

ところでアメリカ政府ってのは西部劇によく登場する悪徳な大牧場主にそっくりに思えてくる。手下を従えて地域を牛耳り、己の利権のためにご無理ご無体を押し通す・・・・。

西部劇だとやがて正義の味方が現れるのだが、アメリカ国民の大半は自分たちこそが正義だと信じているようで、オバマが弱腰だとして弾劾しようとする動きまであるらしい。まあ、始末に悪い。

2014年9月 5日 (金)

サブウーファー、その後

中古のサブウーファーを導入してからひと月、この間にウーファーに対策を少し施した。表面に出ているネジ類をすべて増し締めし、ウッドブロックに10円玉をかませてウーファーの下に差し入れ、床からウーファー本体を少し持ち上げるようにした。その上で、家の外に転がっていた御影石の切れ端をウーファーに載せて上から押さえつけるようにした。

ユニットのエッジはゴムで、特に劣化しているようではないのだが、念のためカーケア用品の"アーマオール"を塗ってみた。

導入したウーファーはバスレフ方式のものなのだが、世間ではバスレフ型は密閉型と比べて音の出方が遅くて純音楽用途には向いていないとの評価が定着しているようだ。

AVアンプで測定してみると、視聴位置からみてサブウーファーとセンタースピーカーは同じ距離にあるのに、サブウーファの方が"距離が24cm長い"と判定される。つまり視聴位置に置いた測定マイクに音が届くのがそれだけ遅くなっているということだ。

だが、実際にCDを聞いてみるとウーファーの音が遅れる感じはまったくしない。AVアンプの音場補正機能を切ってもそうだ。

すっかり気を良くして、片っ端から手持ちのCDを聞いてみると意外な発見がある。ロックやブルース系統のものはドラムだろうとベースギターだろうと重低音が入っていないものがほとんどだ。入っていないと言うよりもマスター音源を仕上げる時に切り捨てているのだと思う。

その点ジャズ系は重低音が入っているものがあって、その音が再生できるかどうかで演奏のリアルさがまったく違ってくる。

見直したのが"The Great Jazz Trio at The Village Vanguard"
ハンク・ジョーンズ(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)による1977年のライブ録音。

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バスドラムの量感がすごいのだが、制動も効いていて"バスッ・ドスッ"とアタック音がリアルだ。

映画でも重低音をウリにしたアクション映画だけじゃなく、地味なシリアス・ドラマにも重低音が入っているものがある。工事現場の重機の稼動音とか街中の環境音がきちんと収録されていると、臨場感が上がってくる。

一万円もしなかった中古品なのでさほどの期待はしていなかったのだが、結構良い感じに鳴ってくれて、もうこれなしでは済まなくなった。

2014年9月 2日 (火)

年末年始、小松発ホー・チミン行きエアー・チケット

今度の年末年始も暦での配列が良く、例年より休みが多くなる。それなので、この時期のエアーチケットを確保するようご下命があった。

昨年はエアーアジアでクアラルンプール往復が一人38,500円で確保できたのだが、今年7月時点では4万円オーバーになっていて、その後もチェックを続けたのだが下がらない。(現在では8万円オーバーになってしまっている。)

エアーアジアはあきらめて、他に安いチケットがないかリサーチしたところ中国東方航空が浮上してきた。上海乗換えで東南アジア方面が安い。

東方航空のホームページでチェックしてみると地元の小松航空に就航している。ものは試しとホー・チミン往復料金を検索してみると55,100円ではないか。

関空や中部空港発着便では国内交通費が結構な金額になるので、それを考えると充分安いし、なんといっても地元なのでアクセスが便利だ。そのうえ小松空港発着の国際線利用者は空港の駐車料金が無料になるらしい。すぐに席を確保した。

東方航空はLCCと違って万一キャンセルすることになっても払い戻し手数料が安いし、荷物預け入れの追加料金も発生しない。

地方ローカル空港発着のチケットはこれまで考えたこともなかったのだが、こうしてみると利用価値大だ。

ただ、この料金は日中関係が冷え込んでいるので上海発日本へのツアー客が集まらなくて一時的に下がっているだけじゃないかと思う。搭乗率が下がり過ぎると料金を下げてもだめなので、減便や休便になってしまう。

ともあれ、年末年始の席はまだ空いているので小松空港近隣の方はお早くどうぞ。現在は私が予約した8月上旬と比べて料金が少し上がっている。

Photo

ちなみに、同じ日程で上海往復の方がホー・チミン往復より料金が高い。こういう逆転現象は他の航空会社でも時々見かけるが、どういう理屈でそうなるのかはよくわからない。

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